私は幼稚部から高校部までろう学校にいたんですが、口話(こうわ)教育を重視していたために手話は禁止されていました。ですから、学校では手話を教えてくれませんでした。
学ぶことはできませんでしたが、手話があるのは知っていました。それは、先輩が友達と手話をしていたからです。だから先生が見ていない時にこっそり手話(スクールサインといって、ろう学校の生徒が使っていることば)していたものです。ろう学校では、口話、発声発語訓練、読話の練習をしました。相手の唇の動きから言葉を読み取るのです。
でも口の動きが似ていて、どうしても読み取れない言葉もあります。たとえば「たまご」と「たばこ」。手話を使えば、どちらか正確にわかるので、手話はとても便利です。
私は、いつもろう者とは手話で話をします。でも、家族とは手話を使わずに会話をしています。手話を使えるようになってほしいと両親に伝えるのですが、両親はなかなか手話を覚えてくれません。家族はみんな聞こえるので、手話がなくても小さいときから身につけた口話と読話でコミュニケーションがとれています。
手話は標準手話なら、基本的に同じですが、地方によっては方言と同じように手話が違ったりするんですよ。たとえば、東京の言葉と関西の言葉は違いますよね。それと同じです。また同じ単語でも東京の手話と関西の手話とでは違ったりするものもあります。
手話は世界共通語ではないんです。それぞれの国によって、手話は違います。日本の指文字は英語の指文字がもとになっているそうです。英語の手話は世界の公用語のように「国際手話」として使われています。
私はいろいろな国の文化や生活習慣を見て、知るのが好きです。現地の人と手話や筆談を交えてお話しするのが楽しいです。だから、海外に行くのは楽しみのひとつでもあるのですよ。
手話を学びたい方は、ろう者が教えている手話講座などに行ってみるといいと思います。ろう者と話しているうちに自然に覚えていきますよ。ちょっとくらい手話の形が違っていても、大丈夫、伝わります。手話を楽しみながら使ってみてください。本当は、ろう者の友人をつくるのが上達の一番の早道だと思います。
最近ブログをはじめました。ブログの中でも手話をいろいろ紹介していますので、参考にしてみてください。手話ができる人がどんどんふえるといいですね。
※写真2,3 「情報」を表す手話 左(最初)が「じょう」右(次)が「ほう」。
忍足亜希子さんのオフィシャルブログ
http://ameblo.jp/akiko-oshidari/
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原本作成日: 2008年1月10日; 更新日: 2019年8月19日;