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「AIスーツケース」の開発をどのようなチームが進めているのでしょうか。
高木:2019年に日本IBMなどの5社が、一般社団法人次世代移動支援開発コンソーシアムを立ち上げ、本格的な開発を進めてきました。2021年からこのコンソーシアムに日本科学未来館も参画しています。
ロボットの開発は、センサーやモーター、ソフトウエアなど、さまざまな技術の組み合わせが必要です。そこで、企業や大学の垣根を超えたチーム体制で開発することがベストだろうということで、コンソーシアムを立ち上げました。
各企業と大学が分担して開発を行っています。具体的には、触覚インターフェイスをアルプスアルパイン株式会社、画像認識をオムロン株式会社、サービスロボットの技術を清水建設株式会社、AIやクラウド技術を日本アイ・ビー・エム株式会社、視覚障害者支援技術をカーネギーメロン大学が担当しています。
「AIスーツケース」の開発において、必要な技術や部品はそろっていたのでしょうか。
高木:「AIスーツケース」をいち早く社会実装することを目標の一つにしていましたので、最先端の技術や部品を組み合わせて実現することを重視してきました。特別な部品の開発から始めるとどうしても時間がかかりますし、高価になってしまいますから。
例えば、現在の「AIスーツケース」に搭載している円筒形のセンサー「LiDAR(ライダー)」は、自動車の自動運転において「目」の役割を担っています。16本のレーザー光線を360度回転させて、人や障害物を測定しています。値段もどんどん下がっているので、AIスーツケースに搭載できるようになりました。また、バッテリーは大型のドローンに使われているものを搭載しています。
そして、モビリティの多様化により、部品の種類はかなり充実しつつありますので、それらをいろいろ組み合わせながら開発を進めています。
IBM東京基礎研究所のシニア・マネージャーでもある高木さん。「AIスーツケース」の開発をけん引している。