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視覚障がい者用移動支援アプリ「ドキュメントトーカ ボイスナビ」の開発(3/5)

3 開発の経緯と工夫したこと

 当社では「ドキュメントトーカ 日本語音声合成エンジン」をパソコンのWindows向け、Mac向け、またAndroid用のスマートフォン向けに提供していますが、より広い用途で役立つような音声アプリを開発できないかと考えていました。

 2007年頃から、大学や大手メーカーとともに視覚障がい者向けの屋外から室内に至る経路案内のプロジェクトに参画してきました。その時はセンサーからハードウェアまでを製作してきましたが、スマートフォンの時代になり、それらがすべてスマートフォンに内蔵されてきました。さらに、モバイルグーグルマップなどの公開で地図情報も使用可能になってきたことで、音声案内のできる地図ソフトの開発に至りました。

 開発当初は、まだAndroidのバージョンも2.0の時代でTalkBackも認知されていませんでしたので、TalkBackを考慮しない形での視覚障がい者向け音声アプリという観点から開発をいたしました。そのため、音声合成機能はAndroidの標準TTS(Text To Speech)を使わずに、ドキュメントトーカ固有の機能を使用しています。TalkBackなどを使用していませんが、視覚障がい者でも使えるようなユーザーインターフェースにはなっていました。

 Android4.0の登場とともに、TalkBackが脚光を浴びてきました。本格的に視覚障がい者が使えるようなレベルに達してきたのです。TTSの仕様もガラリと変わり、当社もこれに合わせてドキュメントトーカ日本語音声合成エンジンをいち早く対応させました。視覚障がい者にとって一番難関の文字入力で漢字の詳細読みが実現されていなかったので、「ドキュメントトーカIME」という「詳細読み」が可能なソフトキーボードを開発いたしました。これでAndroidスマートフォンの視覚障がい者用のスクリーンリーダーのツールがそろい、続々と視覚障がい者の方々の使用が始まりました。2012年夏のことです。

 一般的に地図ソフトというと経路案内の機能を思い浮かべる人が多いのですが、施設情報案内ができるようにしたのは、視覚に障がいのある方から、今、自分のいる位置の周りに何があるかを知りたいという要望があったからです。

 ただ、施設情報案内においても、経路案内においても、現状問題なのは、施設の入り口までは案内できていないところです。施設情報の位置情報は建物のある場所(ビルの中心)だけを示しているので、ビルやホテルなどの大きい建物はどこが入口なのかがわかりません。視覚障がい者の方で入口のすぐそばまで来ているのに、周囲の人に聞いて確認しないと入口にたどりつけないといいます。この問題は、GoogleやYahooの地図の施設情報のデータベースがさらに正確になると、向上すると思います。

 ドキュメントトーカ ボイスナビの音声案内は、現在では、GPSの電波の届かない場所でも、スマートフォンの基地局から位置情報をもらえるので地下街でも問題なくなってきています。

 またドキュメントトーカ ボイスナビは、スマートフォンだけでなく、タブレット端末にダウンロードして、利用することもできます。前ページで紹介した動画のデモンストレーションは、タブレット端末を使って紹介しました。

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