当社はかねてより、美術展の解説や観光案内でAR(拡張現実)を体験できるメガネ型のウェアラブルアイウェアを企画開発してきました。ウェアラブルアイウェアを開発している他社のテクノロジーとくらべると、外部の明るさを問わず、目の前の光景をメガネのディスプレイに、細かく精密に映し出すことができる点が優れています。このディスプレイ技術は「Zen Optics」というものになりますが、これをベースにして、さらに赤青緑の色みの強さを個別に設定できる技術や、光源の波長も選択できる技術を追加したものが「C Vision S」で、現在も実証実験を重ねています。
世界初のデジタル補正技術を搭載したウェアラブルアイウエアを開発
「C Vision S」の技術を紹介する前に、まず人間の眼が色をどのように認知しているかご説明したいと思います。網膜には、「錐体(すいたい)」というRGBを感知する細胞が分布しています。錐体は、赤青緑の3原色がそれぞれ発する光の波長に反応し、色情報を電気信号に変えて脳に送っています。色弱の人の多くは3原色のいずれかの波長を読み取る感度に違いがあり、先天性赤緑色覚異常の場合、赤と緑、橙と黄緑、茶色と緑が見分けにくいですが、間違えやすさは、色覚異常の種類、感度の違いで個人差があります。 そこで、3原色の色みの波長を変換したうえでディスプレイに映し出すことを実現する技術が「C Vision S」です。利用者自身でどの赤青緑の色みをどれくらい強めれば、より現実的な色みに近づけられるのかを踏まえて、個別に調整することが可能になります。
現在開発中のウェアラブルデバイスは、耳の後ろからかけて、瞳の前あたりにある小さなディスプレイに視界と同じものがリアルタイムに映し出されます。ディスプレイは今後大きくしていこうと思っていますが、邪魔にならないような大きさに改良していきたいです。
メガネの左側に装着しているのが「C Vision S」を搭載した改良中のプロトタイプ