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現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者支援サービス・取組 > 重度障害の生徒にICTで知る楽しさを伝えたい〜小松瀬領特別支援学校〜 (4/4)

4 ICT端末で重い障害を抱えた生徒との意思疎通を一歩前に

iPadを導入してからは保護者との日々の連絡にも変化がありました。iPadを使って授業や行事の様子を撮影し、そのまま連絡帳と一緒に保護者に渡すことをはじめたのですが、それに対して今度は家庭での生徒の様子をiPadで撮影して持ってきてくれるようになったんです。これによって、保護者とたいへんスムーズに情報交換ができるようになりました。

ICT端末の機能の中でも、動画の撮影や再生は活用できる場面がとても多いと思います。たとえば、体育で行ったフラフープを転がし、倒れたところで風船が輪の中に何個入ったかを数えるゲームでは、ゴールが遠くて見えません。生徒は、前に出て確認しに行くこともできません。そこで、ゴールを目視して自分で数えられるようにするために、ゴール上部にタブレットを設置して貼り付けて撮影したものを、生徒の近くに置いたモニタ画面にリアルタイムで映し出せるようにしました。モニタを見ると、その場にいながらゴール上からの動画が見られます。その後、リアルタイムではなく任意のタイミングで動画再生ができる「タイムシフト」も導入しました。これにより、生徒の興味関心も高まったように感じています。タブレットやスマートフォンさえあれば、高価な撮影道具も必要ありません。

ゴールの上部にタブレットを設置
  ゴールの上部にタブレットを設置

フラフープを投げて、倒れたところに何個の風船が入っているか画面で確認
  フラフープを投げて、倒れたところに何個の風船が入っているか画面で確認

時間と空間を少しだけコントロールできる、それがICT機器の強みです。障害で外出が難しい人のために、ICTが映像や音声を届けてくれる。また、動画サイト上には面白い動画がたくさん公開されていますし、無料アプリもわくわくドキドキさせるための宝の宝庫です。ただし、あくまでもそれらは補助的なツールです。本当に必要なのは、その時の感動や驚きを共有してくれる人、自分とは違う感じ方をしてくれる人が側にいるかどうかです。学校であれば教師の存在だと思います。タブレットやスマートフォンを活用することで、意思疎通が難しい生徒とも、一方的ではない双方向的なコミュニケーションを叶えることができると思います。

 

取材協力:
石川県立小松瀬領特別支援学校
取材日:
2018年3月

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