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ICT端末のバリアフリーを叶えるため身体障害者向けのOS操作機器を手掛ける「テクノツール」

1 身体障害者を支援するOS操作機器開発の背景

テクノツールでは、身体障害者向けのOS操作に特化した機器を多数開発されています。最初に、その理由についてお聞かせいただけますか?

島田真太郎氏(以下、島田):テクノツールの創業者である父の「障害者が使いやすいOS機器を作りたい」という思いが発端となります。エンジニアだった父の身近に重い身体的障害を持った人がいたという個人的な体験から、自分が持っている力を活かして役立つ製品を作るために会社を設立しました。

会社を設立したのは1994年ですが、まだパソコンがそこまで普及していない時期だと思います。いち早くパソコンに注目されたのはなぜでしょう?

島田:ちょうど Windows が発売された頃ですが、パソコンがあれば身体障害があって家から簡単に出られないような人でも、他者とのコミュニケーションができたり、働いたり、勉強できたりして、色々なチャンスが広がるだろうというムーブメントがありました。そのため、当時は大企業も社会貢献の一環で身体障害者向けのOS機器の開発に参入していたのですが、いまも続けているところはごく少数です。

そうした中、テクノツールは開発を継続されているわけですが、需要がある製品はどのようなものでしょうか?

島田:手足が不自由でキーボードやマウスが使えない人向けの操作機器は長らく取り扱っていますが、最近ではiPadなどのICT機器を操作する製品も需要があります。タッチパネルの操作ができない人のための器具になります。iPadには、障害者でも操作しやすいようにカスタマイズできる「アクセシビリティ」という支援機能が搭載されており、タッチ操作をスイッチ操作やマウス操作へと切り替えることができます。そのため、機能を切り替えたときに、身体障害者でも使いやすいスイッチインターフェースやポインティングデバイスを開発・輸入しており、それは定評がありますね。

スイッチだけでも10種類以上取り扱っていますが、それだけ障害の程度が異なるということでしょうか。

島田:はい、障害の程度はもちろんですが、使う方のニーズが多様なんです。ひとつの器具を皆さんが同じように使えるとは限りません。「肢体不自由の障害」と括られるものでも、一人ひとりできる動作は異なります。また同じ病気や同じ怪我でも人によって症状が全然違います。それぞれに応じることができる器具を揃えておかないと、使用する方の多様なニーズにはお応えできません。

iPadのアクセシビリティの画面。多様な障害にあわせてカスタマイズできる仕組みが搭載されている
iPadのアクセシビリティの画面。
多様な障害にあわせてカスタマイズできる仕組みが搭載されている

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