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松江市立意東小学校特別支援学級で実践する、ICT端末活用のオーダーメイド学習支援

4 学校でのオーダーメイドの支えが生きる力につながる

今後、ICT教育に期待されることは何でしょうか。

井上:以前に比べると、学びにくさのある子どもたちに対して、ICT を導入していこうという動きは広がってきていると感じます。しかし、残念なことに子どもの実態やニーズが置き去りにされているのではないかと、疑問に思うような事例も増えています。ICTは魅力的なツールではありますが、教師側の「ICTを使いたい」という思いが先行してはいけないと、自戒を含めて感じています。

「この子がどこで困っていて、どんな支えが必要なのか」を探るとき、ICTもしかり、魔法のように誰にでも有効な方法はありません。それは、「裸眼では物が見えにくい」という状態が同じであっても、全員に同じ眼鏡を渡せばいいわけではない、ということに似ているかもしれません。

「みんなと同じ方法では学びにくい」という状態が共通していても、ICT という選択肢も含めて、その子の困りごとや強みに合わせたマッチング、微調整は不可欠です。「特別な支援」というのは、一人一人の細かな見え方に合わせて作成するメガネと同じように、本来「オーダーメイドなもの」だと思います。

「自分の学び方」に出会い、その方法を身に付けていくことで、「わかるって楽しい」「できるようになるって嬉しい」ということをたくさん体験してほしいです。それが自己肯定感を養い、「もっと知りたい」「やってみたい」と自分から意欲的に周囲にかかわり発信していく力につながるのではないでしょうか。学校は、決して自分の事を嫌いになる場であってはいけないと思います。

そして、そんな「自分の学び方」を探っていくとき、ICTは重要で魅力的な選択肢になると、Aさんをはじめ、多くの子ども達の姿から確信しています。

 

取材協力:
松江市立意東小学校
取材日:
2020年11月

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