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福祉工学が作るバリアフリー技術(4/5)

4. 「音声同時字幕システム」はどのように開発されたのですか?

長い間バリアフリー機器の研究を続けてくると、一つではうまくいかなかったものを組み合わせることによって、新しいバリアフリー機器の開発につながることが見えてきます。

最初に研究していた触知ボコーダが原型となって、視覚障害者のために文章を音声にして話速の変換をしながら聞き取れ、同時に文書以外の情報を触覚に伝えることができる「触覚ジョグダイヤル」が生まれました。「タジョダ」(タクタイル・ジョグダイヤル)として商品化する予定です。大量のWeb情報を読み取るのに「タジョダ」を使えば、画面の文字を必要なところだけ飛ばし読みできるので、高速に情報取得ができます。

タジョダの写真

※触覚ジョグダイヤル「タジョダ」

1977年のことですが、途中で耳が聞こえなくなった人たちの要望で一音一音をかな文字に変換して読めるようにした「音声タイプライター」をつくり、商品化しましたことがあります。高額だったので一般には広まりませんでしたが、意外なことに印刷会社に導入されました。そのときにバリアフリー機器をユニバーサルデザインにすれば、マーケットが広まると感じました。

音声タイプライターは、特定の人の声であれば95%くらいの精度で言葉を認識して文字にしていました。それをビジネスとするためには、足りない部分は人が助ければいいという発想で、誰かが話したことを必ず特定の人が復唱するという形をとって精度を高め、「音声字幕システム」に発展させました。

2002年に札幌市で開かれた世界障害者会議で初めて使い、夕張国際映画祭では英語、韓国語、フランス語、日本語の4つの言語の音声を「音声同時字幕システム」を使って字幕にしました。

話し手はどこにいても、どこかに言葉を文字に直す人がいれば、インターネットのネットワークを使って文字の情報だけを送り返すことができます。話す人、通訳する人、文字に直す人、話を聴く人はどこにいてもいいのです。この同時字幕システムを事業化しますが、国際会議などの大きなイベントで利益を得て、障害者のための小さな会合では利益をとらない形をとっています。

音声字幕システムの写真

※ 音声字幕システム(夕張国際映画祭にて)
※ スクリーンに文字が映し出される

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