障害のある人自身がパソコンを使いたいと思っていて、すでに特殊な道具や機械を持っているという場合でも、ホームヘルパーや訪問看護師たちが道具や機械を見てフリーズしてしまうことがあります。しかし誰かがパソコンをセットし、電源を入れるなどしないと、使うことができません。介助者だけでなく、機能訓練を担当する理学療法士や作業療法士たちの多くも養成課程では障害者がパソコンを利用する際の支援については教育されておらず、何をしたらよいのかわからない。ですからパソコンを使いたいけれど、誰に相談してよいのかわからなくてあきらめている人が世の中には多いと思います。
全国にはリハビリテーションセンターという名称が増えてきています。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職はたくさんいますが、リハビリテーションエンジニアがいるところはとても少ないのです。
神奈川県総合リハビリテーションセンターを退職して7年経ちますが、在職中に支援をした利用者から今でも相談があります。特別支援学校の教師になった卒業生が、自分の担当している訪問学級の生徒について相談に来ることもあります。その卒業生と共に訪問学級の生徒を訪問したこともあります。また、学生たちの現場実習でお世話になっている施設職員から利用者のパソコンについて相談されることもあります。
大学に転出する前からリハビリテーションや福祉の分野で働く人たちの講習会開催にも関わってきました。コミュニケーション支援の分野における人材の育成や援助がまだ十分に進んでおらず、スタッフも足りていないのが日本の現状です。障害者権利条約の批准をきっかけに、今後も医療や福祉分野でコミュニケーション支援のできる人材を育成するために活動していきます。
写真2 TASの説明をする長野大学社会福祉学部社会福祉学科教授 伊藤英一先生
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原本作成日: 2009年7月13日; 更新日: 2019年8月19日;