もちろん、ホームページやインターネットには限界もあります。佐々木さんは、便利さと同時に時間がかかることを教えてくれましたし、成田さんも画像は見ることができないということを指摘しています。
ホームページやインターネットのシステムはもちろん、携帯電話やパソコンが本当に視覚障害のある人にとって使いやすいものになるには、まだまだ解決しなければならないことがたくさんあります。「ホームページのアクセシビリティ」という言葉で説明される、ホームページの障害者にとっての使いやすさの指針もそのひとつです。この指針への対応がなければ、障害のある人にはとても使いにくい、あるいは使えないホームページができてしまいます。
すでに、日本は高齢社会に突入しています。65歳以上の人が20パーセントを占める社会です。40歳を越えたあたりから視力の衰えを感じ始めるのは普通のことですし、50歳を過ぎると体力の衰えも感じるようになります。しかし、インターネットはもちろん「IT」あるいは「ICT」といわれる情報の技術が、高齢社会日本をアクセス可能な活気にあふれた社会に変えるための有力な道具になるでしょう。ここで紹介した障害のある人の例からも、それは容易に想像できます。
障害のある人、高齢者、そしてすべての人が豊かに暮らせる社会を実現するカギを握っているのは、この新しい技術のあり方にかかっているともいえるでしょう。
国学院大学経済学部兼任講師 梅垣正宏氏
「日本規格協会ウエブアクセシビリティ国際規格調査研究部会、副主査」を務めるなど、ウェブアクセシビリティの分野で活躍。
著書に「障害者と家族のためのインターネット入門」ほか。
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原本作成日: 2005年10月31日; 更新日: 2019年8月6日;