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横浜市立盲学校のICT(情報通信技術)教育の取り組み(6/6)

6. 生徒達のコンピュータ利用の反応と今後目指すもの

高等部普通科の授業では、日常生活に役立つ情報活用の授業を中心に、インターネット情報検索をはじめ、PC機材の分解や組み立て、ソフトウェアのインストールなどさまざまな内容の授業を行っています。意外と全盲の生徒は、機器の分解には関心が高いです。またさまざまなプロジェクトに積極的に参加し、実際の情報通信機器を触れる機会を作っているので、楽しみながら学んでいます。

2004年にはPDAを使ったIP電話で京都府立盲学校とチャットを行い、交流しました。ICTの便利な点や、ICTではできないことなどの問題点も、生徒同士で情報交換することで把握することができます。最近では横浜市のバリアフリーマップの作成に協力しました。点字だけでなく、2次元バーコードのSPコードがついています。

生徒たちは学習に対しては、常に前向きです。一般の学校に比べて、コンピュータは生徒達にとって必須の機材なので、大切に扱おうという姿勢が見られます。機器の整備をしていると、「先生、ご苦労さま」などと声をかけられることもあります。

コンピュータにのめり込んでしまう若者が社会問題となったりもしているようですが、盲学校の生徒の場合は、生徒たちがコンピュータにのめり込むことを一概に悪いとは考えていません。視覚障害者がパソコンを活用するためには、通常の人の何十倍もの努力が必要です。Windowsは、それくらい努力しないと活用できないのです。

最近は視覚障害者でもWebページをもつ人が増えています。当校の卒業生でもホームページを公開している人もいます。しかし、文字入力の練習を積んだりして、コンピュータが活用できるようになっても、なかなか就職へと結びつかないという状況があります。最近はメールを使いこなすことが就職の条件にもなってきているので、今後は、日々情報収集や整理、活用して使いこなすことが必須となるでしょう。

障害者のなかでも、とくに視覚障害者は採用されにくく、後回しにされてしまうのが現状です。コンピュータの仕事は、最終的に視覚でのチェックが必要になるからです。アクセシビリティの観点からも視覚障害者がコンピュータを使えないという社会的な先入観を打破するような何らかの手段が確立されるとよいと思っています。

学校内のどこからでもインターネットに接続できるようになり、情報を生徒が自分で得られるようになったことは画期的なことです。なかには新聞社のサイトにつないで、ニュースなどの情報を毎日音声へ変換して聞いている生徒もいます。コンピュータが登場し、インターネットが利用できるようになり、さらに視覚障害者に必要なツールが開発されて、情報革命が起きていると思います。

ユニバーサルデザインの視点で開発されたものは、障害者だけでなく、高齢者に使いやすいものでもあるはずで、ユーザーのターゲットを広げることも可能なはずです。開発を進めて一般化され、世の中の誰もが便利に使えるものが増えていくよう、情報バリアフリーの仕組みをこれからも世の中に発信していきたいと考えています。

【NEWS】
 横浜市立盲学校のWebサイトが、ウェブサイトのアクセシビリティーを評価するコンテスト"アックゼロヨン・アワード2006"(主催:アックゼロヨン実行委員会、社会福祉法人プロップ・ステーション)で、特別賞(チャレンジド賞)を受賞しました。
  (X)HTML+CSSなどソースコードをはじめとして、アクセシビリティ、ユーザビリティ、視覚表現、サイト構造、SEO、情報デザインなどの多くの分野を、10人の審査員がさまざまな視点で審査し、採点。応募総数139の中から、特別賞に選出されました。

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取材日:
平成18年9月13日
取材協力:
■横浜市立盲学校
Webサイト http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/ss/yokomou/
松田基章先生の写真
松田基章先生
取材者:
独立行政法人 情報通信研究機構 情報通信振興部門 バリアフリーサイト

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