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障害者向け地図・福祉地図 (4/7)

4. この商品・サービスの生まれたきっかけは何ですか?

行きたいところに行けないという事実

既存の福祉地図が、単に施設の紹介であり、その場所までどうやってたどり着くかの方法を示すことができないことに気づいたからです。分かりやすくいうと、「私は車イスを利用しています。アクセサリー屋さんに行きたい。普通の地図を見ても、どこに行ったらよいかわからない。そのお店に入れるかも分からない。だから家にいる」というお話だったんです。ならば、「その人の行きたいところを選んで行ければいい」というのがきっかけで始まりました。

ちょうど車イスの方と仕様を作っている時に、車イスの大会が栃木でありました。他県の方に聞いてみると、「一杯飲みにいきたけどどう行っていいのか分からない」。ホテルに飲むところがある人はお酒を飲めましたが、そうでない人は結局飲めなかったそうです。そういった時にも利用できるようにしてくださいと言われました。

障害者の人だから買い物をしないということはありませんから、日常の中で街を楽しみたい、そのために何が必要かということです。障害者のお客様から、こんなことがあると便利だとか、いろんな意見や気持ちをいただきました。研究対象として、どれをやってみるかさらにフルイにかけるわけです。そして福祉地図システムをやってみることになりました。タイミングよく補助申請が通ったこともありがたかったです。

開発までの苦労はデータの取捨選択

ある大学の先生に「福祉地図は実はみんな失敗をしています。何故かわかりますか?」と聞かれました。みんな障害者の言った要望をそのまま全部載せて失敗しているというのです。要するに情報をちゃんと絞りなさいということです。これは障害者システムだけの話ではありません。言われたことをただ実行しただけでは良いものができません。再構築して本当に必要なものの優先順位をつけることが大事ですよと言われました。

ある駅から視覚障害者の団体の事務所までの道を何種類も一緒に歩かせていただいて、こういうところに問題があるという話をヒアリングさせていただきました。写真も膨大な数を撮りました。確かに集めてみると膨大なデータなのです。ということで絞るのにかなり苦労しました。取捨選択が大変難しい。

国土地理院の道路といったら一本の線ですが、ちゃんとやろうと思えば道路の幅もメートル単位で扱わないといけない。それをやっていたらいつまでたっても地図はできません。では道幅は5種類にしようと決める。大雑把にするのだけど、大雑把さはどのくらいがいいかという点が一番苦労しました。大学の先生にも入ってもらって、これはいるかいらないかということを第三者の目でやっていただきました。

写真(車イスの方の通行例)
有効幅員が不十分な歩道(片斜面の場合)

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