色弱者は、日本国内に約300万人以上いるとされています。日本人の場合、男性の約20人に1人、女性では約500人に1人の割合です。
色弱者をはじめとして色覚には多様性があり、文字の色や背景色の組み合わせなどによっては、情報が正しく伝達されていないことがあります。これまでは社会に色弱者に対する偏見などがあり、また、色の見え方を他人に説明することは大変難しいことでした。表示などに見えにくい配色が使われていて不便を感じる場合でも、そのことを訴えることは難しいことだったのです。そのため他の障害への配慮に比べて、色覚バリアフリーの重要性は社会的に認知が高いとはいえない状況にありました。
2001年春、国立遺伝学研究所(当時)の岡部正隆先生と、国立基礎生物学研究所(当時)の伊藤啓先生が、「色覚障害と呼ばれているものは障害などではなく、遺伝子によって決まる多様性のある感覚のひとつなので、色覚を別のタイプの色覚に治療するなどということがそもそも間違っている。障害は人のほうにあるものではなく、社会が対応していくものだ」という発表を行い、「色覚バリアフリー」の考え方が遺伝学、生物学の学者たちから、色彩学者やデザイナーなどへ広がってゆきました。
色弱の人だけでなく、白内障、緑内障、視野狭窄、視力低下など見えにくい方などにもわかりやすいバリアフリーな色づかいは、一般の人にも見えやすいものです。利用する側の視点に立ち、色覚のタイプにかかわらず、より多くの人に正確にわかりやすく伝わる色づかいや情報の記述方法などに配慮してあるものを「カラーユニバーサルデザイン」と呼んでいます。
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原本作成日: 2007年12月25日; 更新日: 2019年8月7日;