バリアフリー新法によって、建築物や公共交通機関などの段差の解消や視覚障害者誘導用ブロックの設置などの整備が進んできています。更にバリアフリー化を進めていく上では、施設単体の整備ではなく、家を出てから目的地までシームレスな移動を目指し、当事者の視点に立った考え方が大切です。今年の7月には、バリアフリー新法の公共交通機関の移動円滑化基準に則ったガイドラインを発行いたしました。このガイドラインは、国土交通省の受託事業として、先の交通バリアフリー法でのガイドラインを見直したものです。ガイドラインは旅客施設編と車両等編に分かれており、その他旅客船のガイドラインも発行しました。船の場合は他の交通機関と違って、構造上段差をなくすことが大変な部分もありますが、乗船された方が自力で移動できることを基本にしています。
2001年に発行されたISO/IECガイド71(JIS Z 8071〈2003年〉)は、高齢者や障害者への配慮設計指針です。駅のエレベーターやトイレなどについて細かく決められています。たとえば、エレベーターはガラス等で見通しのできるものとします。これは、エレベーター内で起きる犯罪を防ぎ、緊急時に外からも中からもコミュニケーションを取ることができます。中には鏡が設置されていますが、これは車いすが回転できない場合に鏡を見て降りるためです。また、トイレの紙巻器や便器洗浄ボタン、呼出しボタンの配置も決められています(JIS S 0026〈2006年〉)。このような情報は意外と知らない方が多く、利用される方へできるだけ多くの情報提供をすることの大切さを感じています。
車いすの方がバスや鉄道を利用するときには、乗り降りする時の安全性確保や乗車中の車いすの固定の徹底など、まだ十分ではないと考えられる課題があります。現在、車いすのためのスロープの角度や幅、雨天でも滑りにくい素材の使用、固定装置の具体的な仕様など、「車いすの公共交通機関利用時における乗降および車内安全性に関する研究」を進めています。
資料5
左 公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン
中 公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドライン
右 旅客船バリアフリーガイドライン
バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設編・車両等編)
http://www.ecomo.or.jp/barrierfree/guideline/guideline_top.html
バリアフリー整備ガイドライン(旅客船)
http://www.ecomo.or.jp/barrierfree/guideline/guideline_ship.html
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原本作成日: 2008年2月19日; 更新日: 2019年8月7日;