w デジタルソリューションの活用で、障害者・高齢者の方が生活しやすい街に(横浜市の取組) (2/4):NICT
サイトマップ - ヘルプ - お問い合わせ
 
 
現在位置: トップページ > トピック記事 > 高齢者・障害者支援サービス・取組 > デジタルソリューションの活用で、障害者・高齢者の方が生活しやすい街に(横浜市の取組) (2/4)

デジタルソリューションの活用で、障害者・高齢者の方が生活しやすい街に(横浜市の取組)

2 提案されたデジタルソリューションと実証実験の内容とは

企業からどのような提案があり、実際にどのような実証実験を行ったのでしょうか。

松本:各企業から、障害者が使う施設という特性をよく理解したシステムをご提案いただきました。エヴィクサー株式会社の提案である「音響通信によるUD防災ソリューション」の例を挙げて説明します。耳や目の不自由な方が多く集まる「横浜ラポール」では、そのような方々を災害発生時に避難誘導することも大きな課題になっています。提案のあったシステムは、この課題解決に役立つものでした。

使い方は簡単で、対象となる方に専用端末を首から下げてもらうだけです。その端末が音や振動で災害発生を知らせてくれますので、視覚障害者の方は音、聴覚障害者の方は振動で発災を感知することができます。

専用端末への情報伝達は、館内放送に音声信号を載せる仕組みで行われます。電波が届きにくい施設でも、館内放送の届く範囲であれば利用可能です。実証実験では、避難誘導の時間を従来よりも短縮できた、という結果を得ました。

谷口:また、このシステムは、パトランプやデジタルサイネージにも無線で情報が送れる仕様になっています。このような設備を使う場合、通常ならばLANケーブルの設置工事が必要になるのですが、音響を利用した無線通信のため工事は不要です。工事費も掛からない点も大きなメリットになると感じました。

緊急時に様々な方法で情報を伝達できるエヴィクサー(株)の「音響通信によるUD防災ソリューション」

緊急時に様々な方法で情報を伝達できるエヴィクサー(株)の「音響通信によるUD防災ソリューション」

ほかにどのような提案がありましたか?

松本:三菱総研DCS株式会社の「コミュニケーションロボットを使ったワークショップ」は、コミュニケーションを苦手とする人にとって良い提案だと感じました。実証実験では、障害などによって、コミュニケーションに苦手意識のある子どもたちに参加してもらいました。

全4回の実証実験を行い、そのうち3回はワークショップ、最後の4回目は発表会としました。ワークショップでは、ロボットの話す言葉をプログラミングしたり、おじぎをする・手を振るなどロボットの動かし方を学んだりました。発表会は、自分の思いを発表するプレゼンテーションのチームと、会場まで案内する係のチームの2つに分けて実施しました。案内係には、施設入り口から会場の経路4か所にロボットと一緒に座ってもらい、来場者を誘導してもらいました。

案内係の子たちは、「こんにちは」「今日は暑いですね」という日常会話や、「会場はあちらです」という言葉を事前にワークショップでロボットにプログラミングしておき、ボタンを押して会話します。上手にコミュニケーションを取り、スムーズに来場者を誘導できていました。障害の程度が重くて人前で話したりすることを不得意とする子たちも、生き生きと活動していて、その姿が印象的でした。自信にも繋がったようです。

案内係の子たちは、「こんにちは」「今日は暑いですね」という日常会話や、「会場はあちらです」という言葉を事前にワークショップでロボットにプログラミングしておき、ボタンを押して会話します。上手にコミュニケーションを取り、スムーズに来場者を誘導できていました。障害の程度が重くて人前で話したりすることを不得意とする子たちも、生き生きと活動していて、その姿が印象的でした。自信にも繋がったようです。

三菱総研DCS(株)の「コミュニケーションロボットを使ったワークショップ」概要

三菱総研DCS(株)の「コミュニケーションロボットを使ったワークショップ」概要

あとは、大日本印刷株式会社の「スマートフェンシング」です。こちらは、剣先にセンサーの付いた柔らかい剣を使ってフェンシングを行います。競技者に胸元にセンサーの付いたジャケットを着用してもらうことで、剣先が触れたか触れていないかを判定できます。スマートフォンに専用アプリを入れ、点数を出す仕組みです。座った状態で安全にフェンシングが楽しめるので、障害者の方へのスポーツ機会の提供になると思いました。

大日本印刷(株)の「スマートフェンシング」を体験している様子

大日本印刷(株)の「スマートフェンシング」を体験している様子

どの提案も素晴らしいですね。障害者の方の生活を便利に快適にしたい、という想いが伝わってきます。ご紹介いただいた中で、実用化となったものはありますか?

松本:三菱総研DCS株式会社の「特別支援学校・学級向けコミュニケーションロボットサービス」は、今回の実証実験の結果をもとに少し改善してリリースされました。また、今後製品として発売される予定のものや開発段階のものもあります。

ページの先頭に戻る

前へ 目次へ 次へ