ユニバーサルデザインは、これまで障害者や高齢者の方にどのような影響を与え、今後どのように世の中を変えて行くとお考えですか?
浅川:これまではバリアフリーという考えが出発点としてあり、「車いすが通れないからスロープをつけましょう」という考え方だったと思います。かたやユニバーサルデザインは、最初から色々な人がいることを前提に、多様なニーズを知り誰にとっても使いやすいデザインを提供するという考えです。
デジタル化が進むことによって、近年、デジタル機器を使わないと手続きできないなどの弊害も出てきて、高齢の方が取り残されてしまうという話も聞くようになりました。デジタル機器を使ってサービスを受ける機会がとても増えているのですが、その全てのサービスにユニバーサルデザインが取り入れられているとは限らないのです。
そこで、富士通は「FGNP(Fujitsu GUI Next Plus)」というソフトウェア全体の最適化や品質の底上げを図るプロジェクトに取り組んでいます。
富士通は、金融、医療、文教、公共など、幅広い業種のソフトウェアを提供しています。その膨大な数のソフトウェアを共通化する仕組みは、当社ならではのチャレンジなのです。世界に通用するソフトウェアを作るために、シリコンバレーやロンドンのデザイン事務所、オーストラリアやドイツの支部のデザイナーやエンジニアと協業しながら開発を行ってきました。システムのデザインを共通化する事で、使いやすくなりアクセスできる人が増えていくはずです。そして、技術やトレンドは凄まじいスピードで変わって行くので、今後もユーザーの声を聞きながら進化を続けていきます。