2003年1月末から2月中旬にかけて、全国のウェブサイトを開設している地方公共団体を対象に、ウェブアクセシビリティに関する考え方や取り組みの現状、今後の課題等を把握するための調査を実施いたしました。ご協力ありがとうございました。
有効回答数は1932件、回答者属性の内訳は都道府県29件、政令指定都市31件、市454件、町1120件、村294件、その他4件でした。調査結果の概要は以下のとおりです。
ウェブの制作や更新は、全てウェブサイトの運用管理を担当する部署が行うという地方公共団体が全体の約3割、何らかの形で各部署が自分たちのページ制作に関わっているという地方公共団体が6割であった。「その他」の具体的な内容としては、外部に委託している、部署によって異なる、といった回答が多かった。
実際のページ作成については、4割の地方公共団体が全て自分たち職員で行っていると回答している。逆に全て外部業者に発注しているという回答は2割弱であった。
「その他」の具体的な内容としては、開設時のみ業者に委託したが、その後の更新作業は地方公共団体職員が行っている、という回答が多かった。また、少数ではあるが、地域内の市民グループや障害者団体に委託している、という回答もあった。
ウェブアクセシビリティに関する国内外の指針や点検ツールについて、認知度や活用状況を尋ねた。設問の選択肢は「知っている」「勉強・検討をしたことがある」「活用したことがある」の3つであったが、無回答もしくは「全て知らない」と回答した自治体が多かったため、無回答者を「知らない」と置き換えて集計した。
旧郵政省が策定した「アクセシブルなウェブコンテンツの作成方法に関する指針」については3割近い自治体が知っているようであるが、アクセシビリティ点検ツールや海外の法律・ガイドラインについては認知度が低い。
これらの指針やツールを実際に活用したことがあるという地方公共団体は更に少なく、いずれも1〜2%台に留まった。
ウェブアクセシビリティに関連して総務省に期待することを自由記述形式でたずねたところ、回答者全体の7.5%にあたる145団体から回答があった。
問4に選択肢として挙げた支援策の他に期待することとしては、利用者側の環境の整備(情報格差の解消)や、先進事例(特に地方公共団体の例)の紹介等が挙がった。指針等の策定については「明確な指針・基準を策定して欲しい」「手順を統一化して欲しい」という団体が多い一方で「画一的な統一は好ましくない」「強制しないで欲しい」という回答もみられた。
また、ウェブアクセシビリティという言葉に馴染みがない団体からは、勉強のための情報提供や広報等による社会的認知度の向上を期待するという回答の他、「ウェブアクセシビリティを適切に言い換えた日本語訳が必要ではないか」という指摘も若干ながらみられた。