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聞こえない立場からユニバーサルデザインを提案しています(1/6)

1. 聞こえない不便さをどのように発信されていますか

私は聞こえていた立場と聞こえない立場を体験していることから、ユニバーサルな社会の実現のために、聞こえない人の不便さについて企業で講演させていただいたり、執筆したりとさまざまな形で伝えています。

私は小学校高学年から高校にかけて聴力を失いました。普通の高校を卒業し、筑波技術短期大学(現在は筑波技術大学)でデザインを学びました。ここは、日本で唯一聴覚や視覚に障害があっても勉強できる環境が整っている大学です。「東京ディズニーランドを10倍楽しむための提案」というテーマの講義では、担当教授や仲間と東京ディズニーランドを聞こえない人たちももっと楽しむためには、どんな課題があり、どんな解決方法があるかという調査をしました。手話ができるキャストがいればコミュニケーションが楽しい! アトラクションの背景やストーリーがわかればもっと楽しい! など提案をまとめて、東京ディズニーランドに提案しました。卒業後、縁あって東京ディズニーランドを運営する会社で働き、社内でも積極的に誰もが楽しめる工夫を提案していきました。

あれから10年以上経ちますが、現在東京ディズニーランドでは、手話を勉強中のキャストはピンバッチをつけています。ディズニーランドとディズニーシー合わせて100人以上いるようです。また、アトラクションにはストーリーを説明した「ストーリーペーパー」が用意されています。デザインもとても可愛くオシャレです。シアター形式のアトラクションでは、内容を文字表示して見ることができる専用ツールが用意されているものもあります。

東京ディズニーシーには、手話パフォーマンスがあり、聞こえない人と聞こえる人が2人一組で、ショーの内容を手話で演じています。休日などに見ることができます。

私は東京ディズニーランドが大好きなので、シーズンごとに小学生の息子と出かけています。誰もが楽しめるためのさりげないサービスや配慮がたくさんあるので、もっと多くの人に知ってほしいと思います。一方で、その配慮を感じさせない自然さが、ディズニーのすごいところだと思います。「すべてのゲストにハピネスを」という理念は、そのままユニバーサルデザインに通じるものがありますね。

この大学時代の講義を通して、「前向きに提案をしていけば、必ず実現できる」ということを学びました。これが、私がユニバーサルデザインをライフワークにしようと思ったきっかけでもあります。

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