今は車イス利用者など動くのに障害のある人への情報が、メインの対象になっています。
今のところは音声の対応はしていないので、色覚障害や弱視の方、あるいは全盲の方でも付き添いの人がいれば利用できるという状況です。情報の優先順位がまだ練れていないので、入れ忘れている情報や無駄な情報のチェックもまだ必要です。道を歩いていて新しい発見もまだありますから、障害者の方に使ってもらって、さらに使いやすく改良していきたいです。
自治体で福祉地図を作る時に、例えば「ここは違法駐輪が多い」とか書けません。なら違法駐輪をなぜ取り締まらない、何をやってるんだとなってしまうからです。リンクをはるにしても、こっちをはってウチをはらないと言われると困る。公平の原則があるので1つの市の全部を載せない限り地図にできないようなところがあります。そうすると自治体では作れないから、地図を必要とする人に対して作る団体なりに自治体が協力する形をとるしかなくなります。自治体が今一番支援しやすいのが障害者の就労支援問題です。就労支援と福祉地図の結びつきももっと進めていきたいと思っています。
NPOはお金があまりありません。自治体も福祉地図は作らないといけないが、自分たちで作る手間とお金、保守メンテナンスをどうするかという問題があります。NPOが地元の自治体に説明をして、導入の支援をしていただく形が1番スマートだと思います。NPOと自治体の事情をリンクさせたいのですが、そう簡単にはいきません。コスト的には、今までの紙の福祉地図と比べられてしまいます。若干私たちのシステムの方が高くなりますから、そのメリットをどう説明するかというのがポイントでしょう。決して悪いビジネスプランではないのですが、今までにないものですからハードルは高いです。
今考えているのはWEBでの活用です。今の時代は携帯電話で見られないといけません。それをまずやりたいと思っています。携帯電話を持って地図が見られれば、行った先で見られ、そのメリットは大きいです。高性能機種ではなく、一般的な携帯電話で見られるようにしたいと思っています。
地域ごとの特徴の活用もテーマです。地域ごとの特徴を盛り込めれば、地域の活性化にも近づきます。地図を作製するNPOなどの団体は福祉地図の発注と共にたとえば商店街などの地域のHPの受注をしても悪いわけではありませんし、実際に商店街に聞いても「HPを作りたいけれど定期的にやってくれる人がいない」というお話をよく聞きます。そうなると、障害者でHP作成の技術を持っている人の出番もあるのではないかと考えています。地域の活性化として、まとめて新たなビジネスプランをつくっていきたいですね。障害者の作業所でも、コーディネータを入れてHP作成やメンテナンスはできるのではないでしょうか。
障害者の方にとっても、1ヶ月で情報をメンテナンスするという責任感を持って社会に参加するというのは大事なことです。自己実現であり、世の中で役割を果たしているという価値があります。障害を乗り越えた人というのは、会ってみると世の中にそういう価値を作っています。この地図をつくることで、自分の価値が世の中に普遍的にあるのだということを心に刻める道具になるはずです。この地域の情報の陳腐化を避けるためにやっているという価値を見出すことが、政府がすすめている自立心にも繋がります。
災害時の避難も、ラーメン屋さんに行く最適なルート検索の目的地を避難場所と変えるだけで自動的にできてしまいます。避難場所までの、障害区分ごとの最適ルートを作ることができるわけです。障害者の誘導避難経路検索にも十分利用できると思います。
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原本作成日: 2006年5月15日; 更新日: 2019年8月20日;