
[座談会]
子育てと仕事
NICTでは、多様な個人が働きがいを感じながら活躍できる職場環境を実現しています。子育てと仕事を両立できるように様々な制度を整えているのもその一つ。そこで、NICTで働きながら子育てに向き合う4名の職員の方に、NICTを選んだ理由や現在の仕事内容、NICTの子育て支援についてオープンに語っていただきました。

研究職
S.K.
- 経営企画部
- 企画戦略室
- プランニングマネージャー
- 2011年入構

総合職
M.H.
- オープンイノベーション推進本部
- 総合プロデュースオフィス
- 技術展開支援室 主査
- 2023年入構

研究職
H.A.
- サイバーセキュリティ研究所
- サイバーセキュリティ研究室
- 主任研究員
- 2021年入構

総合職
K.M.
- 財務部経理室
- 決算グループ
- サブグループリーダー
- 2009年入構
※部署・役職はインタビュー当時のものとなります。
NICTを選んだ理由を聞かせてください。
- 〈H.A.〉
- 以前は企業の研究者として働いていました。新卒で入った会社で充実した研究生活を送っていましたが、6年近く経って、自分にはビジネスに近い研究よりもアカデミックな領域での研究のほうが向いているのではないかと思うようになりました。そこで、国立研究開発法人への転職を考える中、学会で出会うNICTの研究者の方々から伝わる自由な職場の雰囲気に惹かれてNICTへの応募を決めました。入構当時は有期研究員でしたが、現在はパーマネント研究職です。
- 〈M.H.〉
- 私も転職しまして、前職はライフサイエンス系の国立の研究機関の総合職でした。NICTに応募したのは、産官学連携の業務に携わりたかったからです。前職ではそのような環境がなく、チャンスを求めて転職を考えていたところ、転職サイトを通じてNICTの存在を知りました。ライフサイエンスから情報通信へ研究対象が大きく変わることから少なからず不安もありましたが、理事長をはじめ面接で対応してくださった方々の雰囲気がとてもよく、この職場ならうまくやっていけそうだと感じました。
- 〈S.K.〉
- 私の場合、大学時代に所属していた研究室がNICTと連携していたので、その存在は学生の頃から知っていましたし、国の研究機関として企業や大学とは異なる役割に魅力を感じていました。加えて、「研究者として国際的に評価されるための成果創出」と「国益を意識した研究開発成果の展開」を自らの目標に掲げていたことから、これらを達成できる環境がNICTにはあると確信しました。2016年よりテニュアトラック研究員の1期生として採用され、2020年にパーマネント採用となりました。
- 〈K.M.〉
- 総合職として新卒でNICTに入りました。学生の頃は、内閣府で男女共同参画に関わる仕事がしたいと思っていました。制度や政策の面から社会を変えていく仕事に関心があったのです。公務員試験に臨み、面接を受ける時期に知ったのがNICTです。当時はNICTについて知らなかったのですが、調べていくうちに、情報通信という分野が社会に与える影響は大きく、その最先端の国立研究機関であることが分かりました。政策と研究の橋渡しを担う総合職の役割に強く惹かれるようになり、入構を決めました。

現在の仕事内容を教えてください。
- 〈M.H.〉
- オープンイノベーション推進本部総合プロデュースオフィスに所属しています。具体的には、「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」に基づき、 NICTの研究開発成果を活用していただけるスタートアップ企業に出資し、出資後のフォローアップを行っています。スタートアップの支援を通じて、研究開発成果の社会実装とオープンイノベーションにつなげていくことが狙いです。関連する展示会やイベントなどに足を運び、出資先として期待できそうな企業のリサーチを行うこともあります。
- 〈H.A.〉
- 私はサイバーセキュリティ研究所で、人を中心としたセキュリティ・プライバシー研究に従事しています。深刻化するサイバー攻撃に対して、堅牢なシステムを作り上げていくことは不可欠ですが、その一方でユーザ に適切なセキュリティ対策を実施してもらうように促すアプローチも重要です。そのためにどのようなアドバイスやコンテンツをユーザに提供したらいいのか、という問いに取り組んでいます。情報科学のみならず心理学や社会科学も応用して人間的側面から検討し、セキュリティ・プライバシーに関するアドバイスの質の向上に励んでいます。
- 〈K.M.〉
- 私は財務部経理室決算グループで資産管理を担当しています。主な業務は、NICTが保有する様々な資産について、その財源や取得・管理状況を把握し、適切に管理すること。年に一度の棚卸しでは、数万点におよぶ資産の現物と資産台帳の照合・確認をNICT全体で行います。日々の業務で不明点があれば、必ずNICTの規程や過去事例を確認します。そうすることで、判断の精度が上がり、組織としての一貫性も保てると考えています。
- 〈S.K.〉
- 研究職にも研究以外の業務に一定期間従事する場合があり、目下、経営企画部企画戦略室に在籍しています。私は機構内での異動でしたが、政府機関や民間企業に出向する場合もあります。私が担当しているのは、NICTの経営戦略を立てる上で、幹部の経営判断を支援する業務です。また、各研究所の研究成果を最大化させるための様々なサポートも行っています。研究現場にいた頃は、電波の人体安全性に関する研究に従事し、研究開発業務と合わせて、国際標準化活動や国内法制の策定・改訂にも携わっていました。

NICTでの仕事の面白さや、
やりがいについて
聞かせてください。
- 〈M.H.〉
- 転職の理由だった産官学連携の業務に携わることができて、充実した毎日を送っています。NICTの研究成果を社会実装につなげていく方法の一つとして「出資」があるのですが、こうした支援活動もNICTだからこそできること。新設部署のため、チームのメンバーとともにゼロから築き上げていることが実感でき、やりがいを感じています。また、展示会やイベントなどで出会うスタートアップ企業の方々は突破力や推進力があるので、いつもポジティブで元気をもらっています(笑)。
- 〈H.A.〉
- 私もやりたかった研究ができて、転職してよかったと思っています。アカデミックな研究に邁進できるようになったことで、大きな成果につながることが増えました。特に印象に残っているのは、研究者となって以来ずっと目標としてきたトップランク国際会議で主著論文の発表ができたことです。また、私の研究の知見が実際のオンラインサービスに取り入れられた時もうれしかったですね。自らの研究によって実社会をよりよい方向へ変えていくことができる点や、研究分野の発展に寄与できる点にやりがいを感じています。
- 〈S.K.〉
- 研究者にとって、NICTはやりがいを感じられる環境だと思います。実際、私も自分の研究成果が製品化されたり、標準化活動で存在感を示せたりなど、成功体験を得ることができました。今は経営的視点や戦略的観点といった、研究現場とは異なる見方に触れて学ぶ機会が多く、自らの成長を感じています。そもそもNICTは国の研究機関として、いかに研究成果を実社会につなげていくかが問われており、その点が大学と異なるところです。現在の部署に異動になったことで、社会実装の加速化をどう図っていくかを以前よりも意識するようになりました。
- 〈K.M.〉
- 総合職の場合はジョブローテーションで2~3年で部署移動を行うので、いろいろな立場を経験し、ものの見方が養われるよさがあります。私が特に印象に残っているのは、「ナショナルサイバートレーニングセンター」の立ち上げに関わったことです。開講式典などの準備や運営に携わり、貴重な経験となりました。思うに、NICTの総合職の魅力は国の未来を支える最先端の研究開発に間接的でも関われることでしょう。研究職とともに、ワクワクする未来を創っていく。NICTだからこそできる仕事だと思っています。

子育てと仕事の両立について、どのように対処していますか?
- 〈H.A.〉
- 1歳5カ月の男の子がいますが、一番の苦労は急な体調不良ですね。保育園の早退や病欠が頻繁に起こります。私の場合、裁量労働制と週5日のフルリモートのおかげで、急な早退や通院などにも対処はできています。最近は減ってきましたが、0歳時のうちは夜泣きも多くて、慢性的な睡眠不足の中で研究しなければならなかったのはつらかったですね(苦笑)。
- 〈M.H.〉
- 子どもの急な体調不良は予測ができないだけに悩ましいです。わが家には小学4年生と保育園に通う4歳児、そして1歳児の3人がいますが、昨年、 家族全員がインフルエンザになり大変でした。幸い、私の実家が近くにあるので、私と一番下の子が実家に隔離、二人の子どもと夫が自宅で寝込むという事態に。夫は裁量労働制なので、子どもが病気の時はお互いスケジュールを調整し合い、在宅勤務にしたり、看護休暇を使ったりして対処しています。
- 〈K.M.〉
- わが家の場合、病気の時もさることながら、毎朝の登園や登校が大変で……。小学1年生の息子と保育園に通う5歳の娘がいるのですが、毎朝バタバタで時間との戦いです。在宅勤務もできるので仕事には大きな支障がないものの、娘は登園渋りが多いため、出勤前にすでに一仕事を終えたような気分になります(苦笑)。
- 〈S.K.〉
- 登園渋りはウチもありますよ(笑)。4歳と1歳の二人の子どもを私が自転車で連れて行くので、朝はたいていバタバタしています。子育てと仕事の両立は永遠の課題ですね。特に、共働きの場合は相手の都合もあるため、調整が難しいこともあります。私は長男が生まれてすぐ2カ月間の育児休暇を取り、長女が生まれた時は小学校教諭の妻が復職したタイミングで2カ月間取りました。生活のリズムが整うまでは、私が仕事を休んだ方が、お互い疲れなくていいかなと思ったんです。
- 〈H.A.〉
- なるほど。私の夫は育児休暇は取りませんでしたが、日々の育児は夫婦で協力してやっています。育児に関しては、平日も休日も完全に時間で区切ってシフト制にしています。二人で同時に子どもの面倒を見るのではなく、どちらか一人が子どもを見るという具合です。そうすると、もう一方は仕事や家事や休息に充てたりできますから。でも、それは子どもが一人だからできることかもしれませんね。
- 〈M.H.〉
- 確かに(笑)。わが家は子どもが3人いて、それぞれ興味が違うから、一人で全員を見るのは難しいですね。未就学児は外で遊びたいけど、お兄ちゃんは勉強したい、という感じです。なので、私が未就学児を連れて公園に行き、夫が小学生の勉強を見るなど、休日は分担制にしています。

周囲のサポートや職場環境についてはいかがですか。
- 〈S.K.〉
- 現在の部署に移ってからは出張が減り、在宅勤務も可能なので、恵まれた環境だと感じています。上司の理解もあり、Web会議が普及したことで、子どもと過ごす時間を調整しやすくなりました。もちろん、業務を機動的に進めるには出勤した方がいい場合もあります。在宅でも出勤でもスムーズに仕事ができる環境が整っていることがNICTの魅力だと思います。
- 〈K.M.〉
- 同感です。NICTは、子育てと仕事の両立を支える制度が整っていると感じています。子どもの用事で早退や休暇が必要な時に上司や同僚が快くサポートしてくださるのもありがたいです。働き方の面でも、フレックスタイム制度やテレワーク制度など、ライフスタイルに合わせた働き方が選べます。子育て中の職員にとって、こうした点はキャリアを継続していく上で大きな安心材料になりますね。
- 〈M.H.〉
- 以前の職場で長男を出産した時、テレワーク制度がなかったので、本当に苦労しました。NICTではリモートワークの環境が整っていて、誰もが自分のスケジュールに合わせて在宅勤務を行っているので、子育て中であることが変に目立たないのがいいですね。子どもの送迎で会議を欠席することもあるのが心苦しいですが、部署の皆さんの理解があり、感謝の気持ちでいっぱいです。その分、できる時に頑張ろうと気持ちを切り替えています。
- 〈H.A.〉
- 私も同じ思いです。いつ保育園から連絡が入ってくるか分からないので、学会やイベントには参加できないことを、同じ部署の方々は受け入れてくださいました。子どもが大きくなるまでは、在宅でできることで貢献しようと思っています。私が研究職を続けられるのも周囲の方々の理解があればこそ。とても感謝しています。

子育て中の職員へのサポートについて、
今後のNICTに期待することを教えてください。
- 〈S.K.〉
- 研究職の男性が育児休暇を取得するケースは、今まではあまり聞きませんでした。でも、絶対取った方がいいですよね。子どもと一緒に過ごせる時間は、人生の中でそれほど長くはありません。もっと男性の育児休暇の取得が進むことを期待しています。
- 〈M.H.〉
- NICTでは、子育て中の職員に対する支援制度が整っていると思いますが、人によっては「もっとこうしてほしい」「こんなサポートがあったなら」という思いがあるかもしれません。そうした声を丁寧にすくい上げて、どの部署でも安心して働けるような職場環境になるといいなと思っています。
- 〈H.A.〉
- 私もNICTの子育て支援制度は充実していると思いますが、強いて言うなら、メンタル面でのサポートがあるとありがたいなと思います。子育て支援というと制度面にフォーカスが当たりがちですが、それ以外にも例えば情報共有の場があるといいですね。そういった交流を通じて、若い研究者がライフイベントや将来のキャリア構築に希望を持てるようになるとよいと感じます。
- 〈K.M.〉
- そうですね。制度があるだけでなく、実際にそれが現場でどう活用されているか、どんな課題があるかを共有し、話し合える場がもっと増えると、より働きやすい環境につながると思います。子育てをしていても、していなくても、安心して仕事に取り組める環境があることは、長く働き続ける上でとても大切ですよね。今後、さらに柔軟で多様な働き方ができるような制度や対話の場が広がっていくことを期待しています。



