NICT 究職 伊藤 友貴
NICTの人 ICTで、未来をどうする?

研究職

伊藤 友貴

  • ユニバーサルコミュニケーション研究所
  • データ駆動知能システム研究センター(DIRECT)
  • 主任研究員
  • 2025年入構

[プロフィール]

2015年、東京大学工学部計数工学科数理情報工学コース卒。2020年、同大学院工学系研究科システム創成学専攻博士課程修了、同年、三井物産株式会社入社、 デジタル総合戦略部デジタルテクノロジー戦略室配属。自然言語処理技術を活用した専門文書(貿易・法務・金融)解析システムの構築をはじめ、自然言語処理に関する新規事業の推進・技術検証等に携わった後、2025年、NICT入構、現在に至る。

※部署・役職はインタビュー当時のものとなります。

ICTで、未来をどうする?

自然言語処理を活用して
新たなビジネスモデルの創出に貢献

NICT 究職 伊藤 友貴

大量のテキストデータを学習させることで、人間と同程度に自然な言語表現を生成するLLM(Large Language Models:大規模言語モデル) が発達。社会でのAIの活用が加速すると、人と人、組織と組織のコラボレーションから生まれるビジネス機会が増えていく。NICTの豊富なリソースを駆使することで、事業会社とのコラボレーションを促進、新たな発明やビジネスモデルの創出に貢献する。

NICT 究職 伊藤 友貴

豊富なWebデータと計算資源を活用して
インパクトのある取り組みへ。

前職で5年間、先端技術の社会実装やプロダクト化、新規事業の創出などに携わりましたが、民間企業では3〜5年でマネタイズが求められるため、世の中を根底から変えるような息の長いプロジェクトに関わるのは難しいと感じていました。また、大学や研究室などのアカデミアの技術と民間企業のニーズをマッチングさせた産学連携プラットフォームをつくり、新しいイノベーションや新規事業を生み出して、インキュベーションするエコシステムの開発・推進に強い関心がありました。それに付随してテキストデータなどを活用したビジネスマッチング技術の開発を実現・実践できる可能性のある組織を探していました。自然言語処理技術のビッグサイエンス化が進む中、過去20年近くにわたり、700億ページに及ぶ日本語中心のWebデータや計算資源を収集・保有し、膨大なページ数のWebデータを基にした質問応答システム「WISDOM X」の試験公開や防災チャットボット「SOCDA」の社会実装といった実績を持つNICTなら、インパクトのある取り組みができるのではないかと考え、志望しました。

NICT 究職 伊藤 友貴

日本語に根差した生成AIの開発に向けて。

今、研究チームとして手掛けているのが、国産LLMの開発プロジェクトです。生成AIは画像や音声を生成できるもの含みますが、私たちが取り組んでいるのは、テキストを対象とした純国産LLM。Googleの「Gemini」やオープンAIの「Chat-GPT」は、代表的な生成AIですが、その学習データの大部分は英語のテキストです。このような生成AIを用いて作られるサービスでは、日本の習慣や文化が適切に反映されず、そういったサービスを使い続けることで知らず知らずのうちに日本の習慣や文化に関する知識を得る機会が奪われ、気がついた時には日本の文化の一部が消失する可能性も否定できません。このような危機意識から、学習データとして日本語のテキストを大量に用いて、日本の習慣や文化を適切に扱える日本語特化型の国産LLMを作ろうとしています。具体的には、NICTが保有する膨大な量の日本語Webページから高品質・大規模なLLM学習用の日本語テキストを作成し、日本語特化型のLLMを作ることを目指しています。現在は、LLMの性能 向上を視野に、LLMの事後学習と呼ばれる学習で用いる入・出力の対(指示と回答のペア;インストラクションデータと呼ばれる)を自動あるいは半自動で生成する手法の開発に携わっています。多様性という観点からも、日本人の精神構造が反映されている生成AIはもちろん、多彩な国の言語・文化ベースの生成AIが存在するようになれば、世界は多様で豊かなものになっていくと考えています。

プロジェクトと私

社会的意義の大きい国産LLM開発に
やりがいと魅力を感じて。

入構して約半年、今は研究所内の案件に関するキャッチアップと進行中の大型プロジェクトのサブタスクを行うのが中心です。一方、個人としては、NICT、DIRECTのリソースをフルに活用したNICT ならではの新規プロジェクトを立ち上げられないか、鋭意模索しているところです。
国産LLMの 開発は社会的意義が大きく、今後、LLM/生成 AI の活用が進み、LLMが人々の思想や意思決定に与える影響は大きくなると予想されます。信頼性の高い国産LLMを開発することは、ある意味、日本文化、ひいては日本を守ることにもつながる取り組みであり、やりがいを感じます。世界の最先端を目指す仕事であり、日々、新しい知見や発見があることも魅力です。

プロジェクトと私
NICT 究職 伊藤 友貴

生成AIが変えていく、コミュニケーションの未来。

生成AIを使ったサービスやツールが広まり、それが当たり前のものとなっていくと、世の中の進展速度は急速に上がっていくと思います。たとえば、今までは先端技術とそのあらたな活用先を発見するのは大変でしたが、生成AIが発達すれば、そのような発見が容易になり、イノベーションが活発に生まれるようになる可能性が高い。そこを活性化する仕掛けができたら面白いと考えているところです。
今後は、生成AIによってコミュニケーションの方法や考え方自体も大きく変わっていく可能性が高いと個人的には思っております。特に若い世代、今の10代以降は、ICTの進化と共に人と人のコミュニケーションが激変し、その先には、AIを挟んだ会話が考えられます。重要なことは対面やチャットでコミュニケーションする一方、SNSのような匿名性の高いテキストコミュニケーションはAIを介し、それぞれが自らの仮想AIをアシスタントにしてSNS上で会話し、ものごとを決めていく。AIを挟むことで、コミュニケーションの仕方も考え方も、AIの影響を受けていくはずです。そうなれば、日本の習慣や文化を適切に扱える生成AIがなければ、知らず知らずのうちに日本の文化自体が消えてしまうかもしれません。NICTの一研究員として今後、考えていかなければならないと感じているのは、そういうものが世の中の標準になった時に、その先に何が起きるのか、未知の可能性や問題点を今のうちに想定し、解決策を模索しておくことです。そこから生まれるニーズや新たなイノベーションまで見据えた上で、新しい技術を仕込んでいく。それが研究において重要であり、研究者に求められる姿勢ではないかと思います。

NICT 究職 伊藤 友貴
NICT 究職 伊藤 友貴

※写真はイメージです

[もうひとつの顔]

フットサルで、心身をリフレッシュ!

中学・高校時代、サッカーをやっていました。今でも、健康維持も兼ね、週1回程度の頻度ですが、フットサルをしております。また、3カ月に1回くらいのペースで、自然言語処理技術の関係者と一緒にフットサルをしています。

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