ICTで、未来をどうする?
AIで守り、AIを守ることで、
「AIネイティブ」な世界を創る

AIは今後さらに社会のあらゆる局面で活用される。だからこそ、情報社会に不可欠なAIを使ってサイバー攻撃からネットワークを守るとともに、AIを多種多様な攻撃からを守る研究を深化させる必要がある。目指すのは、誰もが安心してAIを活用できる「AIネイティブな社会」を創ること。

テニュアトラック研究員
韓 燦洙
[プロフィール]
2018年九州大学大学院システム情報科学府修士課程修了、同年、NICTに有期研究員として入所と同時に同大学博士後期課程に進学。2021年博士(工学)取得。2023年テニュアトラック研究員に転換。
※部署・役職はインタビュー当時のものとなります。

AIは今後さらに社会のあらゆる局面で活用される。だからこそ、情報社会に不可欠なAIを使ってサイバー攻撃からネットワークを守るとともに、AIを多種多様な攻撃からを守る研究を深化させる必要がある。目指すのは、誰もが安心してAIを活用できる「AIネイティブな社会」を創ること。

サイバーセキュリティに興味を持つようになったのは高校時代でした。当時はスマートフォンが登場した頃で、私もコンピュータに興味を持ちアプリケーション作っていました。同時にハッカーによるサイバー攻撃が社会問題として浮上した時期で、サイバーセキュリティは情報社会を守る重要な分野だと思い、進路先として考え始めました。そんな考えもあって大学は情報系の学部に進学。大学時代にはAIが注目され始め、「サイバーセキュリティ」と「AI」をテーマに研究することを決断しました。大学院の博士後期課程進学と同時にNICTへ有期研究員として入構。その後、テニュアトラック研究員となり働いています。テニュアトラック研究員は、自ら課題設定をして主体的に研究に取り組める職種です。期間内に成果を上げることが求められますが、論文発表のための費用や様々な支援を受けられるなど、研究者として成長できる環境があると実感しています。特に海外研究機関との共同研究や交流が充実しており、国内に閉じない国際的な研究活動に携わることができています。こうしたグローバルな経験は、研究者としての見識を広げる貴重な学びとなっています。

私が取り組んでいる研究は大きく分類すると二つ。「機械学習を用いたサイバー脅威の予防・対策」と「大規模言語モデル(LLM)の脆弱性評価、安全性検証、攻撃・防御手法の研究」です。前者は複数の研究を行っていますが、その中の一つとして生成AIを使ってサイバー攻撃をリアルタイムで追跡する研究を行っています。具体的にはダークネット観測と呼ばれる、未使用のIPアドレス空間の特異点を見つけることで、無差別なサイバー攻撃の早期発見や予測手法を研究しています。その他にもマルウェアと呼ばれる悪性プログラムの進化過程を系統樹にすることで、マルウェアの相関関係をいち早く判別し、迅速で的確な対策ができる研究にも取り組んでいます。どちらも膨大なデータを解析するためにAIの優れた点が生かせる研究として展開しています。後者はAIを守るための研究です。生成AIが普及すると共にサイバー攻撃へ悪用されたり、AIそのものが攻撃されるようになりました。そこで悪用・攻撃されにくい安全性と頑健性の高いAIシステムを構築する研究も行っています。サイバー攻撃に対して、「AIで守る」「AIを守る」に取り組むことで、AIが使いやすい「AIネイティブ」な社会の実現を目指しています。
新たに取り組んでいるのが、
サイバー攻撃からAIを守るための研究
サイバーセキュリティとAIをテーマに、入構後はAIを活用してサイバー攻撃からシステムを守る研究に従事してきました。AIを活用して膨大なサイバーセキュリティのデータを追跡・解析することでサイバー攻撃の予防と早期検知や、サイバー攻撃の種類を分類することでその対策策を支援する研究などを行ってきました。そして2025年2月に立ち上がったCREATEで新たに取り組んでいるのが、AIを様々な攻撃から守るための研究です。AIシステムの安全性や頑健性の評価および向上、AIに対する攻撃や防御の最先端の研究に取り組んでいます。


休日は妻と小学生の娘と一緒にボードゲームやアニメ観賞などで過ごすことが多いです。また、NICTは有給休暇などを活用して長期休暇が取りやすいので、実家のある韓国や妻の実家がある福岡に帰省しています。


※写真はイメージです
[もうひとつの顔]
「夢中になれること」に
出合ってほしくて、
息子とおでかけ。
休日は2歳になった息子を連れて出かけることが多いですね。私は子どもの頃に宇宙少年団やサイエンスキャンプへの参加を通して、科学や研究に触れたことがきっかけで宇宙に興味を持ち、その後、研究者の道を歩むことになりました。息子はまだ小さくて科学に興味を持つには早いですが、博物館や水族館など興味を持ちそうな施設などに連れて行っています。たくさんの経験から「自分が夢中になれる何か」に出合ってほしいと思っています。
