ICTで、未来をどうする?
人を中心としたICT技術で
人に優しい未来を創る

AI技術の進展により様々なサービスのスピードが速くなっているが、使うのは人であり、人がどう感じるのかを基点にしなければならない。人を中心に捉えたサービスが不自由なく快適に使えるようにすること。そんな通信環境を実現することが大切だ。

研究職
廣田 悠介
[プロフィール]
2004年大阪大学工学部電子情報エネルギー工学科卒業後、2006年3月、情報科学研究科情報ネットワーク学専攻博士前期課程修了。2008年9月、情報科学研究科情報ネットワーク学専攻博士後期課程修了。同年10月より母校の情報科学研究科の助教として研究と教育に従事。2017年4月からパーマネント採用で主任研究員となる。
※部署・役職はインタビュー当時のものとなります。

AI技術の進展により様々なサービスのスピードが速くなっているが、使うのは人であり、人がどう感じるのかを基点にしなければならない。人を中心に捉えたサービスが不自由なく快適に使えるようにすること。そんな通信環境を実現することが大切だ。

博士課程を修了後、母校の大学教員として研究と教育に10年近く携わってきました。次のステップとして他大学での就職を考え始めていたところ、NICTが研究職を募集していることを知りました。私の研究分野は光ネットワークですが、学生の頃から電子情報通信学会の研究会などで学会発表をしてきたので、NICTの研究者の方と会うことが多く、いろいろとお話をさせていただく機会がありました。大学教員になってからも国際会議などでNICTの研究者の方と出会い交流する中で、いかにNICTが最先端を目指した設備で研究しているかを感じていました。ここでなら自分の研究をさらに広げられるにちがいない。そう確信して、応募することに。実際、入構してみると、予想を上回るほどの充実した研究環境でした。最先端の実験機材が多くそろっているので、実験を効率的に進められます。さらに、私の研究分野を先導してきた研究者たちが多数在籍しているので、新たな知識や気付きが得られます。NICTの世界的な知名度から海外の研究者と好意的にディスカッションができることも大きな魅力です。

私が研究しているのは、光通信領域におけるネットワーク関係です。Beyond 5G時代を見据え、増大し続ける通信トラフィックをどう支えていくか。その解決法の一つとして、ネットワーク全体で光信号のまま処理する全光ネットワークが考えられています。従来のネットワークで必要だった光信号から電気信号への変換処理が不要になるため、より速く大容量の通信が可能になると期待されています。これを実現するために、全光ネットワーク上でデータを効率的かつ的確に届けるルーティング制御について研究しています。実験室では、柔軟かつ安定した低遅延通信を提供するためのプロトタイプ検証実験などを行っており、最先端の実験機器を用いて実験を進められることに面白さとやりがいを感じています。また、地震などの自然災害や障害によって光ファイバー断線などが起こった場合、いかにすばやく通信を復旧させるかという課題にも着目し、耐災害性や耐障害性を向上させた光ネットワークを作るための基盤技術の研究にも取り組んでいます。日米共同研究プロジェクトや日独B5G共同研究にも従事。NICTならではの国際共同プロジェクトに参画できることはもちろん、自分の研究が世界的に評価され、社会実装に貢献できる可能性があることに喜びを感じています。
宇宙と地上を光でつなぐ、
新しい光ネットワークの実現に向けて。
Beyond 5G時代では、基盤となる光ファイバー通信のさらなる発展が求められています。そこで、全光ネットワークのルーティング制御に関する研究に加えて、NICT内の宇宙通信システム研究室や光アクセス研究室の研究者たちと連携。ファイバーベースを脱却した、衛星間全光通信の研究にも取り組んでいます。これは、JST CRONOS(情報通信科学・イノベーション基盤送出)のプロジェクトとして採択され、未来社会における大きな社会変革を実現可能とする革新的な光通信システムとして期待されています。


現在、全光ネットワークのルーティング制御に関する研究を中心に、5つの研究プロジェクトが進行しています。やるべきことが多岐に亘るため、スケジュール管理が大変ですが、プログラミングや実験など集中して作業を行う時間をきちんと確保するようにしています。というのも、シミュレーション結果や実験データにふと感じる違和感にこそ、問題解決の糸口があったり、次の研究のアイデアにつながったりするからです。また、異なる研究分野の情報収集も積極的に行い、自分の研究に取り入れることができないかと考えることも大切にしています。まったく違う側面からのアプローチが気付きを与えてくれることは少なくありません。加えて、ヒューマンネットワークの構築も大事です。近年はオンラインでも学会に参加できますが、現地で参加すれば、より幅広く深く情報交換ができます。「こんなところで苦労した」というリアルな話は現地であればこそ。そこから新しい発見やつながりが生まれることも。今後は、光通信ネットワーク分野のみならず、幅広い分野での研究活動に携われるように学び続け、研究者としてさらに成長していきたいと考えています。


※写真はイメージです
[もうひとつの顔]
大好きなお酒を異文化交流のお供に。
休日は妻と一緒にワインや日本酒などを味わいながら、食事と会話を楽しんでいます。原産地や製造工程、風味の違いなどにも興味があり、ワイナリーや酒造をめぐることも。お酒の話題は世界共通、学会後の懇親会では異文化交流の手段としても活用しています。
