神経細胞間の電気活動を計測、制御し、
解析して可視化する。
脳の神経細胞同士のつながりをモデル化したものがAIですが、モデル化に利用されているのはごく一部の機能のみで実際の細胞機能とは違います。私の研究では、培養した実際の神経細胞を使って、細胞同士の情報のやり取りを電気活動として計測し、レーザー光で制御し、情報科学の手法を使って計測されたデータを解析します。神経細胞同士のつながりを可視化することで、新たなAI技術につながる機能モデルを作ろうと考えているのです。研究で重要なのは、高密度電極アレイという26,000個以上の電極を備えた半導体チップを使い、チップ上で細胞を培養することで、電気信号をやり取りする単一細胞の神経活動を計測することです。神経細胞がほかの神経細胞からの電気信号を受け取って応答する程度に成長しないと実験ができないため、長期間の培養プロセスは必須です。どういう細胞活動を観察するか、その目的と要件に応じた日数・条件で細胞を育てるのに、2週間から1カ月ほどかかります。電気活動を制御するための、レーザー光を導入した顕微鏡システムも自ら構築します。解析では、細胞から細胞へ信号が伝達する経路や細胞同士が情報をやり取りしている様子をマップ化する解析ソフトを自分で開発します。神経細胞同士がシナプスという部分を使って電気信号をやり取りするのですが、私が開発した解析ソフトを使うと、その情報のやり取りを可視化できます。生物学的な現象である培養細胞の活動を工学技術で制御し、さらに情報科学の技術を使って解析し可視化するという複数分野を融合した研究に面白さを感じています。