用語集

このページには、時空分野、時間に関する用語をまとめてあります。
参考にしてください。

秒(時間の定義)[second]

国際単位系(SI)で「1秒は、セシウム133原子の基底状態の二つの超微細構造準位の遷移に対応する放射の周期の91億9263万1770倍の継続時間。」と1967年に定義され、 現在も使われている。初期の頃は「1秒は、平均太陽日の1/86400」と天文時による定義などがされていたが、地球の自転速度は一定でないため 上記の様な原子時によって定義された。

メートル(m)[meter]

国際単位系(SI)で「1mは、1秒の2億9979万2458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さ。」 と定義されている。1889年の第1回度量衡総会に北極から赤道までの地球の長さに基づいたメートル原器を採用された。 しかし、このメートル原器は誤差が大きかったため、より精度の高い定義として光の波長を 用いた定義が登場し、1960年に「クリプトン86の原子の準位3p10と5d5の間の遷移に対応する光の真空中に おける波長の1650763.73倍に等しい長さ」と定義された。その後、レーザ技術の発展により、1983年に現在 の定義に変更された。

メートルは以下の方法の一つにより実現される。

1.平面電磁波が真空中を伝わる行程の長さを求める方法。

2.平面電磁波の真空中の波長を求める方法。

3.真空中の波長または周波数が与えられている放射の一つによる方法。

勧告される放射のリストは改訂が早く、不確かさが低い。

  

キログラム(kg)[kilogram]

国際単位系(SI)で「1kgは質量の単位であって、単位の大きさは国際キログラム原器の質量に等しい。」と定義されている。

国際単位系(SI)[SI:フランス語Système Intemational d'Unités(International System of Units)]

国際単位系(SI)は、長さ(メートル、記号m)・質量(キログラム、記号kg)・時間(秒、記号s) ・電流(アンペア、記号A)・熱力学温度(ケルビン、記号K)・物質量(モル、記号mol)・光度(カンデラ、 記号cd)の7つの基本単位と、補助単位、接頭辞を組み合わせて組立単位の定義を行う。

時空[time and space]

通常の三次元空間に、時間を合わせた四次元空間のこと。

世界時(UT)[universal time]

地球の回転観測から決定される時刻。しかし、地球の自転速度は安定ではなく一定ではないため、時間の単位の 基準にするには都合が悪い。そのため、秒の定義は原子時計を用いた量子力学的な定義に改定された。 UT0、UT1、UT2と細かく分けられる。

グリニッジ平均時(GMT)[Greenwich Mean Time]

イギリスのグリニッジ天文台での天体観測を元に決められる時刻。昔は世界標準時刻として普及していたが、現在では原子時計によって決定されるUTC(協定世界時) が使われている。両者はほとんど同じだが、海の潮汐運動がブレーキとなり、地球の自転 周期は年々長くなっているため、時間の経過と共にずれが生じる。UTCはGMTとのずれが0.8秒を超えると、「閏秒」を追加して差を詰める。

グリニッジ天文台[Greenwich Observatory]

1675年、イギリス・グリニッジに設立された王立天文台。航海術を確立するために、正確な星の動きの観測を行った。 現在は、天文台としての仕事は行われていない。グリニッジはロンドン近郊、テムズ川のほとりに位置する。

UT0

観測地点における地方平均太陽時を天体観測に基づいて計算された世界時。地軸にぶれがあり天文台の経度と緯度が変わるため、観測地点ごとにUT0は少しずつずれる。

UT1

地球の自転軸は極運動が原因で変化するため、天文台の緯度と経度が変わってしまう。この自転軸の変動を補正したものがUT1と呼ばれる。 UT1は地球上の場所によらず、どこでも一定である。

UT2

UT1に地球の自転速度の季節変動を補正した値。現在は使われていない。

地方平均時[local mean time]

観測地点を基準にして、天の赤道上を実際の太陽の運動を平均化した等速度で運動する仮想的な天体である平均太陽が、ちょうど真南に来た(南中する)時刻を「正午」とする時系。

国際原子時(TAI)

1958年1月1日0時0分0秒から世界時UT2と一致させ原子時計で刻まれた時刻。

協定世界時(UTC)

地球の運行に基づく天文時系である世界時(UT)に準拠するように調整された原子時系のこと。 協定世界時(UTC)の1秒の長さは、国際原子時(TAI)と同じものを使っている。

日本標準時(JST)

情報通信研究機構(NICT)が決定する協定世界時UTC(NICT)を9時間進めた時刻。

国際度量衡局(BIPM)[BIPM:フランス語Bureau International des Poids et Mesures(International Bureau of Weights and Measures)]

時間、長さなど世界の測定単位の決定および管理を行っている。本部はフランス・パリにある。世界中の機関で得られたデータが送られ、時刻比較し国際原子時(TAI) と協定世界時(UTC)が決められる。  

標準電波(JJY)

情報通信研究機構 電磁波研究所 日本標準時グループが決定した標準周波数 と日本標準時(JST)を日本全国に供給するための電波。

原子時計[atomic clock]

原子や分子における二つのエネルギー準位間の遷移によって、ある特定の振動数を持つマイクロ波を放射する。この原理を利用した時計。セシウム原子、ルビジウム原子 や水素原子などの原子が用いられている。

セシウム[英caesium、米cesium]

原子番号55。原子量132.9。アルカリ金属元素の一つ。単体では銀白色の軟らかい個体金属。水と激しく反応する。融点は約28.5℃と低い。セシウム133原子が1秒の 定義に用いられている。セシウム133原子の存在度はほぼ100%。

一次周波数標準器[primary frequency standard]

国際単位系(SI)が定めた秒の定義を正確に実現させて、秒の絶対的な基準を作りだす測定器のこと。秒の定義で述べられているセシウム原子は、黒体放射による影響を 受けない静止状態の原子で、絶対零度、外部電磁場なしなどの条件が課せられている。しかし、実際にこの条件を満たすのは不可能であるため、測定時の状態などによる 周波数の変化を評価・補正して、他に頼らず自分自身で秒を作り出す。だが、一次周波数標準器の連続運用は難しいため、世界各国にある二次原子時計によって原子時が 維持される。(実際は、世界各国の研究所が維持する原子時計の値を平均し、一次周波数標準器で較正を受けて正確な秒が作られる。)

NICT-O1[エヌアイシィティ-オーワン]

2006年6月まで運用していた、情報通信研究機構(NICT)で最初の一次周波数標準器。

GPS衛星[GPS satellite]

カーナビゲーションで知られているGPS衛星には原子時計が搭載されている。この電波 を受信し時局の時計を比較することで、時刻差を求め時刻比較を行っている。(International System of Units)

水素メーザー[Hydrogen Maser]

水素ガスのメーザー放射を利用した非常に高性能な原子時計。