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波面補償光学技術
波面補償光学技術
衛星-地上局間の光通信において、衛星と地上の間には大気が存在し、その存在によって通信光は影響を受けます。大気は密度むらを持っており、宇宙から到来する光は波面の各点で位相差を生じることで方向ずれが生じます。その結果、その光を集光した場合に焦点位置での光が空間的に散らばってしまいます。通信の世界ではファイバー結合効率が不安定になるという形で現れます。この効果を補正しない限り、たとえ大口径の望遠鏡で通信光を受信して光量を確保しても、安定した通信環境は構築出来ないということになります。
これを解決する技術の一つが集光した光の波面を動的に補正する「補償光学系」です。NICTが所有する小金井1m望遠鏡でも通信用の補償光学系を開発しました。衛星-地上間光通信は天体よりも天球上を速く動く衛星が相手となるため、まず追尾性能を向上させる必要があります。そのため、2019年度に精追尾光学系の開発を行いました。その精追尾を行った後のビームに対し大気揺らぎを補正する補償光学系を取り付けるため、2020年度から開発を開始し、2021年度に実際に光学系の取り付けを行いました。
疑似的な波面ゆらぎを起こしたビームにより機能検証も可能な装置を備えており、宇宙から到来する光源がない場合でも実験、検証が可能な装置となっています。
補償光学系の制御概念
一般的には「波面センサー」で得られた波面ゆらぎの情報をもとに「可変形鏡」を動作させて波面を整える。
波面センサー
波面とは光束のビームの断面であり、波面センサーはその波面上の各点における光の方向ずれを計測する。一般的には波面を二次元的に分割し、その各分割面での方向ずれを計測する。
可変形鏡
可変形鏡は波面のゆらぎを整えるため複数の制御点で鏡の凹凸を制御することが可能な鏡である。波面センサーの情報をもとに、波面のゆらぎに応じて鏡を変形させて波面を整える。
技術解説
まず乱れた波面を評価するための「波面センサー」によって波面の各点での波面のずれを計測する。その計測結果から「可変形鏡」と呼ばれる鏡を変形させて乱れた波面を反射させることで波面を整える。これを波面が変動する速度に合わせて制御することでリアルタイムに理想的な波面に近づけることが可能となる。
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