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AI予測を活用したフレキシブルな衛星リソース制御
AI予測を活用したフレキシブルな衛星リソース制御
2025年度に静止軌道へ打上げ予定の技術試験衛星9号機(ETS-9)は、次世代ハイスループット衛星(HTS)の通信技術の実証のため、ディジタルビームフォーミング(DBF)を用いてアンテナビームの形状や位置を変化させることで、トラヒックを要求するユーザの空間的変動に柔軟に対応する機能や、ディジタルチャネライザによって割り当てる周波数帯域を隣接ビーム間で調整する周波数フレキシビリティ機能を有しています。これらアンテナビーム可変機能や周波数可変機能を活用するためには、ユーザの位置やトラヒック変動を予測してビーム制御や周波数割り当てを最適化する必要があります。
また、次世代のハイスループット衛星では、接続性の高い無線通信と大容量な光空間通信を併用することで更なる周波数利用効率の向上が見込まれているため、技術試験衛星9号機(ETS-9)では、Ka帯の周波数資源の有効利用に向けたリソース制御技術の研究開発のほか、静止衛星-地上間の10Gbps級の光空間通信技術の実証を予定しています。空間光通信および無線通信ともに、複数の地上局からリンク状態の良い地上局を選択するサイトダイバシティが重要です。大容量通信が可能な空間光通信では、雲によって容易に通信が遮断されるため、雲の動き(または雲量)を予測することで適切な光通信地上局を選択することが可能になります。無線通信では降雨による減衰量が大きいKa帯を利用するため、降雨量予測を行うことで最適な地上局選択が求められます。
NICTでは株式会社天地人と連携を図り、AIを用いた雲量や降雨量などの天候状況やトラヒック変動の予測情報から、周波数利用効率向上に向けた衛星リソース制御の研究を実施しています。
【通信衛星の高機能化:フレキシビリティ機能】
①アンテナビームの形や位置を変えられる機能
②それぞれのビームに割り当てる周波数帯域を変更できる機能
③通信衛星と接続する地上局を切り替えられる機能
技術解説
ディジタルビームフォーミング
ディジタルビームフォーミング機能は、通信需要に合わせてアンテナビームの位置・形状を柔軟に変形することことにより、周波数の有効利用を図ることができる。
ディジタルチャネライザ
ディジタルチャネライザ機能は、通信需要に合わせて各アンテナビームへ周波数割り当てを最適化することにより、周波数の利用効率の改善を図ることができる。
サイトダイバシティ
サイトダイバシティ機能は、天候の状況に応じて使用するフィーダリンク地球局を選択することにより、通信の効率化を図ることができる。
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