PEOPLENICTで働く人たち #8
ロボットの研究者から、脳科学の研究者に。
NICTには今までの研究を生かせる分野が様々あり、研究の領域を広げることができます。

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劉 珠允LIU Juan脳情報通信融合研究センター
脳機能解析研究室
主任研究員

中南大学博士後期課程修了。パターン認識と知能システムに関する研究で博士(工学)取得。2003年、国際電気通信基礎技術研究所(以下、ATR)に勤務。2006年より、NICTのユニバーサルメディア研究センター(後にユニバーサルコミュニケーション研究所に統合)の超臨場感プロジェクトに参画。2013年より、脳情報通信融合研究センター(以下、CiNet)脳機能解析研究室に所属。現在、VRや多感覚通信の研究開発、およびクロスモーダル知覚の認知メカニズム・神経機構の解明に向けた研究に従事している。

劉 珠允 (LIU Juan)主任研究員

「機械はもっと賢くならないのかな?」と思ったことが、AIをより深く学ぶことになるきっかけとなりました。

私は中国で生まれ、中国の大学でロボット工学を学び、パターン認識や知能システムの研究で博士号を取りました。 しかし、大学の時の専攻は自動制御とサイバネティックスでした。父は冶金(やきん)学系の学者、母は数学者でしたが、私は別の研究分野に進みました。
大学3年の時に、自動制御研究のインターン先の製鉄工場で、機械の動きに対して少し違和感を覚えました。「機械はもっと賢くならないのかな?」と感じて、機械が生身の人間に近い「知性」を持てる可能性を探求してみたくなったのです。 それがきっかけで大学院では人工知能システム(AI)を学びました。マウスの認知地図(Cognitive map)というものを研究し、「モバイルロボットのナビゲーション」というテーマで博士論文を書きました。マウスが記憶を頼りに歩く場所を決めて行動するというものをロボットで実現するという内容です。その研究では様々なセンサーから情報を取ります。後に、ATRで感情を顔の表情で表現するシステムを作った際にも、このセンサー情報融合の研究が役に立ちました。
思い起こせば、子供の頃見たアニメでは「鉄腕アトム」などが好きでした。そんな潜在意識があってかロボットを作りたくて大学に入ったのですが、ロボットの最も繊細な部分である「脳」の研究を突き詰めてみたいと思い、今に至っています。
大学院時代、学会等を通して日本の研究者とも交流するようになりました。そして、学会発表の為に日本を訪れた際に、日本の様々な文化に直接触れ、「日本は綺麗で面白くて楽しい」と感じました。同じタイミングで知人のいるATRにも訪問し、研究職のお誘いをいただきました。

海外のイベントで多感覚融合技術のデモンストレーションを行う劉主任研究員

研究者として迎えてくれた日本。研究の道を歩んで十数年になります。大切なのは「軸」でした。

数年ATRで従事した機械学習と感情喚起・表現研究プロジェクトが終了すると決まった時、NICTの超臨場感のプロジェクトが研究者を公募していると教えていただき、応募し採用されました。このプロジェクトでは、人間側が持っている様々な感覚メカニズムを調べ、人の感覚センサーに情報を人工的に与えて現実にないものの存在を感じさせる仕組みを深堀しました。
2013年に研究室ごとCiNetへ異動しますが、研究の「軸」は変わりませんでした。超臨場感のプロジェクトで研究開発した多感覚インタラクションシステムを、日本国内や海外の展示会に出展し、多くの人にこの世界を体験していただき、楽しんだり驚いたりしていただき、とてもやりがいを感じました。科学と技術で人々の心を大きく動せることを実感しました。これからは、さらに人々の生活にインパクトを与える研究をやりたいと思っています。NICTでは、大規模なプロジェクトにも参加できて、このような目標を実現できます。
また、国の研究所なので、安定して研究ができるというところが魅力的なところです。気づけば日本で研究者となり十数年経ちました。ここでは組織と自分の目標を明確にしていくことが重要です。私の現在の研究テーマは「脳」ですが、この研究を通じてサイエンスからエンジニアリングにフィードバックできると考えています。その際、自分の「軸」はぶらさずに、研究分野を広げて組織の中に位置付けていくことが大切だと感じています。
「システム」はInputとOutput、「ロボット」はSensorと駆動装置(Actuator)ということを考えると、人間の「脳」も一緒で、その中の知能(Intelligence)は、人間の知能か、人工(Artificial)の知能か。両方やるとそれぞれ新しい知見が見えてきます。私は新しい分野に入っていくことには抵抗がないですね。

研究現場で仲間たちと集う劉主任研究員

2018年12月27日17:38撮影

外国人が働きやすいか?解決すべき課題はあります。これからは、コミュニケーションがより重視される世の中になると思います。

外国人としてNICTが働きやすい場所かどうかに関しては、どうしても日本語が必要になる場合が多いことが課題と思いますが、NICTの翻訳技術も活用して、いろいろな規約も英語で理解できるようになってきています。また、事務系の方々が、外国人に対しても親切にサポートしてくれるところも、心強いと感じています。私たちの研究室では「ケーキタイム」というものを実施しています。その時間は国籍関係なく、研究者と事務系の人達がみな笑顔でコミュニケーションをとって、お互いを思いやることを大切にしています。
2021年の現在、新型コロナウイルスで社会が変容しています。ICTで解決するために私が超臨場感プロジェクトで培った経験を、VR/MRなどの新しいデバイスでの通信やコミュニケーション手法を研究テーマにして、より早く社会に貢献していくことも新たな課題となりました。ニューノーマルの時代では、遠隔のコミュニケーションがより重視される世の中になります。そこで私の研究がお役に立つことができれば光栄です。

私の研究成果

脳研究の知見を、ヒューマンインタフェース開発に活用しています。 さらにNICTでは、研究分野を横断して協力することで、相乗効果を高めることが期待できます。

私の研究は、人間の体性感覚、視覚、聴覚などの統合特性を行動実験と脳活動計測で探り、その知見をヒューマンインタフェース開発に活用することです。これらを通じて、新しいコミュニケーションシステムを作り出す研究にも広げていきます。特に3Dモデル化技術、触覚提示技術、多感覚融合技術など、次世代の遠隔通信や遠隔操作を実現するための基盤技術開発にも力を注いでいます。研究のゴールとしては、人間の心理物理・脳活動イメージングとVR/ロボットシステムを用いて、計算モデル化が可能な多感覚処理の特徴を明らかにしてそれらを活用することを目指しています。
そしてこれらの研究開発には、多くの研究分野が関係しています。今まではCiNet、ユニバーサルコミュニケーション研究所において研究を行ってきました。現在、他分野の研究所の方との連携も進めています。VRの世界を攻撃者から守りセキュアにするためには、最新のサイバーセキュリティの知見が必要ですので、サイバーセキュリティ研究所の方々とも協力し、このほか電磁波研究所やネットワークシステム研究所の方々ともより良いデバイス作りの為に連携していきます。NICTには様々な研究所があるので、強力なパートナーを見つけて相乗効果を高めていくことも期待できます。

子供に多感覚融合技術のデモンストレーションを行う劉主任研究員

私のオフタイム

デスクワークが多いので、休日はゴルフなどで身体を動かすようにしています。ゴルフはグループで回るので、人と人のコミュニケーションを大切にし、お互いを思いやるやさしい気持ちになれるところも好きです。他にも社交ダンス、乗馬など沢山の趣味で満喫していますが、一番の癒しはペットです。犬1匹、猫4匹の大家族です。ペットとは、言葉に限らず、ボディタッチなど多感覚のコミュニケーションが重要ですね。

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