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PEOPLENICTで働く人たち #11
研究は推進・支援する業務を行う多くの人々に支えられている。
そのうちの一人として、「運用」自体の研究をしていた経験が活かされています。

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岡本 慶大OKAMOTO Yoshihiro業務企画部 DX企画推進室 情報システムグループ

主任研究技術員

津山工業高等専門学校、奈良先端科学技術大学院大学にて仮想計算機、クラウド等の運用技術やセキュリティに関する研究を実施。博士後期課程を単位認定退学後、同大学研究員を経て2013年7月NICT入所。有期雇用技術員、無期雇用研究技術員を経て2023年4月より現職。 現在はインフラチームリーダーとして、機構内ITインフラの設計・構築・運用、情報セキュリティ対策、専用線・電話契約の効率化、DX・業務効率化推進等の業務を牽引。

岡本 慶大 主任研究技術員

「運用」 と 「研究」。運用そのものを研究テーマとしたくて、どちらも経験した学生時代。

小学生の時に叔父からPCをもらったことから、毎日PCを触って遊ぶようになり、そのうち、ケーブルを差し替えたり、コードを入れ替えたり、部品を変えたりして遊ぶようになりました。インターネットへ接続するようになったのも一般的な家庭よりは早かったと思います。そういった環境の中で、自然とコンピュータ関係のエンジニアになりたいと思い高専に進学します。NICTのことは、高専在学中にインターネット経由でPC等の時刻合わせができる(PC等の時間を日本標準時(JST)に合わせることができる)NTPサーバというものがあるということを知った際に、日本標準時を決定している研究機関(当時はCRL: 通信総合研究所)があるということで知りました。その後、大学院時代には、仮想計算機やクラウドとの運用関係をテーマに研究をしていたのですが、インターネットって本当に色んな通信が入り乱れているというか、机上のラボの中でやったことがそのままインターネットの上で動くとは限らないんですよね。そういった意味で、実環境での運用を研究する為のなんらかの知見を得たいと思い、様々なプロジェクト等に参画させていただきながら、実際に大学等のサーバ・ネットワークインフラの運用や、オープンソース系のWebサイトのサーバ管理、大規模イベント用Webサイトの運用等に、業務委託・アルバイト・ボランティア等の形で携わりました。また、参画したプロジェクトの1つであるWIDEプロジェクト*1では、NICTの提供するJGN*2を活用した広域ネットワークを運用するといった経験をさせていただいたり、情報セキュリティ関係の研究会やシンポジウムではNICTの方々と実際に交流を持つようになりました。


*1:WIDEプロジェクト:
https://www.wide.ad.jp/

*2:JGN:NICTが提供する、ICT研究開発の基盤となる超高速研究開発ネットワークテストベッド
https://testbed.nict.go.jp/jgn/
岡本 慶大 主任研究技術員

自分の興味と、できることと、やりたいことがすごくマッチしている「運用」という領域で、国の研究を間接的に支援できるということにやりがいを感じています。

当時は、クラウドコンピューティングという言葉が出てきたばかりでしたが、研究内容としてのクラウドって、大手がどんどんサービスとしてリリースしていく中で、テーマとしては凄く技術進歩が速かった。結果、仮説の設定・実験・結果検証といった研究のサイクルも速く回す必要がありました。一方で、「動いているのが当たり前」を維持し続けることが最も重要かつ、最も困難な課題となるITインフラの運用においても、問題や課題が発生したときに、即座に仮説を立て対処を実行し効果検証するといった似たようなプロセスを踏みます。実際、私が研究していた仮想計算機やクラウドといった分野においては「研究」と「運用」の明確な境界を定義するのは難しく、そういった意味でITインフラの運用は「自分の興味と、できることと、やりたいことがすごくマッチしている領域」だと感じました。そんな時にNICTの情報システム室(2013年当時)の求人を見つけ、これまでの研究分野や各種ITインフラの運用経験を生かしながら、既に交流のあったNICTの方々の研究推進をお手伝いすることができるのではないか、と考え応募しました。実際にNICTで働き始めると、研究者以外の、研究を推進・支援する業務を行う方々が思った以上に多くいて、そういう方々の働きが研究者を支えているということにとても驚きました。直接ではないにしても自分の働きが結果的に国の研究機関であるNICTの研究を推進し、社会還元につながるということを強く感じ、やりがいに繋がっています。

岡本 慶大 主任研究技術員

最新の研究内容や研究者に近い場所で運用に携わる一方で、ネットワーク構築等のコンサルティング対応も。

実際の業務としては、機構内の役職員等が業務遂行に利用するメール、インターネット接続、業務システム等の共用情報システムの運用管理の指揮・統括といった、機構内のITインフラの運用に関わる業務が主だった内容となります。運用管理に有用なツールの開発・実装や、クラウドサービス等の利用検証から機構内へのサービス展開といったことも行っています。運用以外では、研究所との連携や研究環境構築の為のコンサルティング業務といったことが挙げられます。例えば、研究所との連携でいえば、機構内ネットワークの運用の中で、サイバーセキュリティ研究所のサイバー攻撃統合分析プラットフォームである“NIRVANA 改”*3を実際に使ってネットワークの監視を行っていたり、それによって得られた知見を研究所へフィードバックするといったことも行っています。サイバーセキュリティ研究所は、研究開発成果を機構自らのサイバー攻撃分析活動にも適用し技術検証を行っているので、その中でも運用者目線、利用者目線での気づきや要望等を中心に情報交換を行っています。また、研究環境構築の為のコンサル業務としては、例えば、この地点とこの地点をこういう風に繋ぎたい等、研究者がネットワーク上でやりたいことをヒアリングし、最適なネットワーク構築に向けての機器選定や構成等の提案をしています。


*3:NIRVANA改:組織内の各種セキュリティ機器が発報するアラートを集約・分類・相関分析することで、アラートのトリアージ(優先順位付け)や、異常な通信を遮断するアクチュエーション(自動対処)等を可能にするサイバー攻撃統合分析プラットフォーム

今後の目標、ビジョン

NICTは、一定の合理性さえ持っていれば、個人の仕事の裁量の範囲がとても大きい組織。隠れた個人のスキルが発揮されるような環境にしたい。

NICTの研究内容や業務範囲、そして業務量は年々拡大しており、職員数等も増え続けています。様々な業務での「DX(Digital Transformation)」が叫ばれて久しく、ITをとりまく環境も日々変化しています。そんな中で、どう機構全体での業務効率化を進め、ひいては機構の本来業務である研究を強く推進できるようにするか。取り組みがいがある課題は、IT分野あるあるの課題からNICTならではの課題までいくらでもあります。と同時に、NICTは一定の合理性さえ持っていれば、仕事に対する個人の裁量の範囲がとても大きい組織。実際私自身も、2013年着任当時、翌日からいきなり新規センター建築のネットワーク構築の主担当を任されましたが、過去の経験を生かしたネットワーク設計を提案した結果、チームメンバーのサポートもあり、無事に竣工、現在に至るまで非常にトラブルが少ない状態で運用できています。そういった意味で、現在のチームメンバーに対しても気軽な意見出しや相談ができるような環境づくりを心掛け、それぞれが十分にその経験や長所、スキル等を発揮できるような職場になればと考えています。また、室としての動きであるDXマイスター制度も含め、個人的には人材のスキルマップの整備やそれぞれの部署を横断した、業務TIPSを共有できるようなコミュニティの活性化といった視点にも注目して、業務改善を推進することができればと考えています。

岡本 慶大 主任研究技術員

私のオフタイム

残業はほとんどしておらず、夕方は勤務終了後保育園に子どもを迎えに行き、家族みんなでお風呂・夕食にしています。休日も家族と買い物に出かけたり、家で一緒にゲームをして楽しんだり、猫と昼寝したり。1人で休みの時は、明確な目的地を決めずに、景色を眺めつつ、ドライブそのものを楽しんでいます。ワーク・ライフ・バランスの取れた生活ができていますね。先日の夏休みには家族で旅行に行ったのですが、子どもにとってはとても楽しかったらしく、数か月経っても「旅行楽しかったね!」と言ったり旅行の絵を描いたりすることがよくあり、できるだけ色々な経験をさせてあげたいなと思っています。

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