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ワイヤレスネットワーク
研究センター
(神奈川県横須賀市)
ワイヤレスグリッド
Wireless Grid
ワイヤレスグリッドとは、複数の無線機が格子(グリッド)状につながった動作形態の呼称です。無線機同士で連携し、補完し合うことで、単一の無線機よりはるかに多様な働きを実現できます。近年需要の高まるモノ同士通信(IoT)でも必須の形態だと考えられます。
ワイヤレスシステム研究室では、スマートメータを運用する無線通信システムとして知られるSUNの機能拡張について検討し、1000台以上にも及ぶ無線機が自律分散的に網形状を構成する技術や、電池駆動で何年もシステムが継続できるような省電力動作技術の研究開発を行っています。
前者では、無線機間で自動的に情報交換を行いながら適切な中継経路を確立する手法や、多数の無線機から発信され中継されるデータを交通整理する手法などを提案しました。
後者については、スリープ状態を活用して無線機の平均消費電力を大幅に下げる手法や、制御信号等の低遅延が求められるデータの場合に動的にスリープ状態を調整する手法などを提案しています。
技術解説
ワイヤレスグリッドの技術的特徴の主要なものは、①多数の無線機の連携と、②無線機の省電力動作だと考えられます。
多数の無線機の連携
本特徴を実装するために必要となる機能として、
(a)各無線機が定期的に試験的な信号を発信し、無線機同士で存在を検知するだけでなく、受信電力に基づき無線機間のデータ中継に際して最も効率的な経路を自律分散的に構築・維持する機能、
(b)中継される多数のデータのうち、中継経路が同じものを連結することでデータの個数を減少させ、データ同士の衝突による性能劣化を抑止する機能、
(c)上記中継経路を複数保持し、データの種別に応じて利用する経路を切替えることで、様々なデータに対して最適な伝達を行う機能
について検討しています。
無線機の省電力動作
本特徴の実装を目的として、電力消費の最も深刻な要因である、無線機の不必要な待受け状態を少なくするために待受け動作は間欠的に実施され、それ以外の大部分は無線機がスリープ状態となる動作形態をアクセス制御方式の中で採用しています。
待受け状態とスリープ状態の時間的な比率を1:100~1:1000程度まで調整することで、従来動作の電力消費量を約100倍~1000倍に改善することができます。併せて、時間同期用の信号頻度も、必要最小限に下げています。
一方で、間欠的な待受けは、データ中継時の遅延や、ネットワーク形状の柔軟性低下にもつながるため、アプリケーション要件に応じて、一部の無線機の待受け動作を調整する等の制御も検討しています。
研究メンバー
- 児島 史秀
- 趙 欧
- Azril Haniz
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